The Sake Wire

料理人と酒蔵が組むブレンド日本酒「風紡」

東京の会席料理店と茨城の浦里酒造店が、4種の日本酒を掛け合わせたブレンド酒「風紡」を共同で造った。

ワインやシャンパーニュでは当たり前の「アッサンブラージュ(ブレンド)」が、日本酒にも広がり始めている。東京・谷中にある、1日2組限定の会席料理店「やなか風紡(つむぎ)」は、茨城県つくば市の浦里酒造店と組み、完成した複数の日本酒を合わせたオリジナル酒「風紡」を造った。店主で料理人の中井隆裕さんは、ソムリエと唎酒師(日本酒の専門資格)の両方を持つ。

3種から4種へ、蔵と店の初挑戦

酒造りに使う米粒。茨城県産の米と水で醸す蔵の様子を表すイメージ
酒造りに使う米粒。茨城県産の米と水で醸す蔵の様子を表すイメージ — 写真: MITSUKI SAWA(Pexels)

浦里酒造店は1877年創業。茨城県産の米と水で酒を造り、現在は6代目の浦里知可良さんが蔵元と杜氏(醸造責任者)を兼ねる。ブレンドは蔵にとっても初めての試みだった。2025年の開業時に3種を合わせた第一弾を造り、開業1周年となる今回は4種に増やした。使ったのは「浦里 純米吟醸」「浦里 純米酒」と、先代が始めたブランド「霧筑波」の「純米吟醸 星霧」「特別純米」。4本とも、醸造アルコールを加えない純米系の酒だ。第一弾は、中井さんが思い描く料理を言葉で伝えて造った。第二弾では浦里さんが店を訪れて実際の料理と合わせて味わい、そのうえで配合を決めた。

混ぜた直後と2週間後で味が変わる

酒器に注がれた日本酒。温度や器を変えて味わう場面を表すイメージ
酒器に注がれた日本酒。温度や器を変えて味わう場面を表すイメージ — 写真: Szymon Shields(Pexels)

比率を少しずつ変えながら試す作業は、第一弾で約5時間かかった。さらに浦里さんの助言で2週間ほど寝かせて飲み直すと、酒同士がなじみ、味は大きく変わっていた。混ぜた直後の味ではなく、なじんだ後を見すえて調整する必要があるという。中井さんがいちばん面白いと話すのは、冷酒・常温・燗と温度を変えたり、酒器を替えたりすると、ブレンドした酒のどれかの個性が入れ替わるように前に出てくる点だ。

料理人の発想も広がる

月替わりの会席料理と日本酒の盃
月替わりの会席料理と日本酒の盃 — 写真: Gu Ko(Pexels)

月替わりの会席には、冷たい料理も温かい料理も並ぶ。常連客からは「季節が変わっても合う」という声が届いた。第一弾をもとに、ふぐのヒレを使った「冷たいヒレ酒」も考案した。ヒレ酒は本来、焼いたヒレを熱燗に浸して飲むものだ。料理酒にも同じ蔵の「福笑」を使い、料理と酒を一つの蔵でつないでいる。第二弾は200本限定で、店内だけで提供される。なお浦里酒造店は、試験醸造シリーズ「URAZATO PROTOTYPE」で、昔の酒母(発酵のスターター)の造り方「酸基醴酛」にも挑戦している。新しい試みに前向きな蔵だ。

「風紡」は谷中の店でしか飲めない。それでも、この考え方は自宅で試せる。同じ蔵の純米酒と純米吟醸を少量ずつグラスで合わせ、冷やした状態と軽く温めた状態で飲み比べると、どちらの個性が前に出るかが変わるのが分かるかもしれない。日本では京都などでブレンド日本酒のブランドも生まれている。ラベルの「assemblage」や「blend」の文字は、これからの注目点になりそうだ。

秋田の酒を EU で試す — €6 から

180ml のお試しサイズと、日本酒・ワイン・ビール・ジンのフルボトル。アムステルダムから EU 域内へ発送。

ショップへ →