The Sake Wire

江戸の“カクテル”柳蔭、焼酎とみりんで復刻

東京の神田豊島屋が、焼酎とみりんを同じ量ずつ合わせる江戸時代の飲み物「柳蔭(本直し)」を、現代の造り手と組んで瓶詰めにし、2026年9月28日に発売した。

神田豊島屋が発売した「柳蔭またの名を本直し」
神田豊島屋が発売した「柳蔭またの名を本直し」 — 画像提供: PR TIMES(神田豊島屋)(プレスリリースより)

みりんが「飲む酒」だった時代の一杯

焼酎とみりんを合わせて瓶詰めにした「柳蔭またの名を本直し」
焼酎とみりんを合わせて瓶詰めにした「柳蔭またの名を本直し」 — 画像提供: PR TIMES(神田豊島屋)(プレスリリースより)

みりんは、いまのヨーロッパでは和食の甘い調味料として知られている。もとはもち米と米こうじを焼酎に漬け込んで造るお酒で、神田豊島屋によると、江戸時代には清酒のおよそ3倍の値段で売られた高級酒だったと考えられる。そのみりんを焼酎(米や芋などから造る日本の蒸留酒)で割ったのが柳蔭だ。関西では「柳蔭」、江戸では「本直し」と呼ばれ、井戸で冷やして夏に飲まれた。古典落語の「青菜」にも登場する。新商品は、江戸時代末期の風俗をまとめた書物『守貞謾稿』の記述にならって、焼酎とみりんを1対1で合わせた。昔は升の縁に塩を盛って飲んだことにちなみ、伝統的な揚げ浜式の塩もほんの少し加えている。300ml入りで、アルコール度数は28%。日本での分類はリキュールになる。

三つの造り手が手がけた第一弾

柳蔭の第一弾を手がけた造り手(神田豊島屋のプレスリリースより)
柳蔭の第一弾を手がけた造り手(神田豊島屋のプレスリリースより) — 画像提供: PR TIMES(神田豊島屋)(プレスリリースより)

焼酎は、鹿児島県志布志市の若潮酒造が造る芋焼酎「GLOW EP05」。マスカットやライチを思わせる華やかな香りが特徴で、今回は水を加える前の原酒が使われた。みりんは、東京で唯一のみりん醸造所である豊島屋酒造の「“Me” 無濾過生原酒 おりがらみ」。もち米・米こうじ・米焼酎だけで仕込み、加熱殺菌をしないで瓶に詰めている。プレスリリースでは、世界三大酒類コンペティションのすべてでメダルを受けた初めてのみりんとされている。2種類のお酒のブレンドは、静岡県下田市のSHIRAHAMA DISTILLERYが担当した。この蒸留所は、バーテンダーで蒸留家でもある伊藤広光氏が2023年に開いたものだ。

冷やからお湯割りまで、五通りの飲み方

氷を浮かべた柳蔭のような一杯のイメージ
氷を浮かべた柳蔭のような一杯のイメージ — 写真: Markus Winkler(Pexels)

メーカーがすすめる飲み方は五つある。江戸時代と同じように冷やしてそのまま飲む、氷を浮かべる、同じ量の水で割る、炭酸で割ってレモンを添える、同じ量のお湯で割る、の五通りだ。芋焼酎の果実のような香りとみりんのやわらかな甘みは、どの飲み方でもはっきり感じられるという。

今回の発表には、ヨーロッパでの販売についての情報はない。それでも、ヨーロッパの家庭で同じ考え方を試すことはできる。手に入る本みりん(「みりん風調味料」ではないもの)と焼酎を同じ量ずつ合わせ、塩をほんのひとつまみ加えて、よく冷やすだけでよい。ベルモットや甘口のシェリーを食前酒として飲む感覚に近く、カクテルが好きな人には「200年前の日本のレシピ」として楽しめる一杯になるだろう。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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