梅乃宿、産地を名乗る雄町酒「SOL」「ARS」
奈良の梅乃宿酒造が、雄町米発祥の地・岡山県高島地区産の米を使う新シリーズ2本を11月2日に発売し、酒米の品種に加えて産地も名前に掲げる。

奈良県葛城市の梅乃宿酒造は1893年創業で、日本酒と梅酒などのリキュールの両方で知られる蔵です。2013年に5代目社長に就いた吉田佳代氏のもと、2022年には同じ葛城市内に新しい蔵を完成させました。その蔵が今回、かつての看板だった酒米「雄町(おまち)」にあらためて焦点を当てます。
「雄町といえば梅乃宿」の記憶
雄町は岡山県で生まれた古い酒米の品種で、育てるのも醸すのも難しいとされます。梅乃宿はこの米の持ち味を引き出す技術で評価され、かつては「雄町といえば梅乃宿」と言われたといいます。戦後は栽培の難しさから作付けが激減し、雄町は一時なくなりかけました。その時期に梅乃宿は、ほかの1蔵とあわせてわずか2蔵で、品質に見合う価格を払って米を買い続け、品種を支えてきました。今回使う「高島雄町」は、雄町発祥の地である岡山県高島地区で、厳しい管理のもと特別栽培された米です。雄町の中でも特に手に入りにくい米とされています。
熟した果実のSOL、切った果実のARS

「SOL(ソル)」は、穏やかに熟した果実のような香りと、米そのものの自然な甘みを持つ、すっきりした味わいです。蔵は常温のほか、40℃前後の「ぬる燗」やもっと熱い燗をすすめており、温めるとふくらみが増し、キレのよい後味が日々の食事に合うといいます。720mLで税抜1,800円です。「ARS(アルス)」は、切ったばかりの果実のような柔らかい香りが特徴です。口当たりはなめらかで、爽やかな甘みと豊かな旨みが調和し、余韻を残しながらも後味はすっきりしています。720mLで税抜2,500円です。どちらもアルコール度数は15%で、原料は米と米麹だけです。販売は、日本国内の特約店(蔵と取引契約を結んだ酒販店)と蔵の直営店に限られます。
品種から産地へ

ワインがブドウ品種の次に畑や産地で語られるように、このシリーズは酒米の品種名だけでなく、それが育った地区の名前まで商品名に入れています。奈良の蔵が岡山の特定の地区の米を名前に掲げるのは、原料の産地を酒の個性として打ち出す試みです。
2本とも今のところ日本国内だけでの販売なので、ヨーロッパで同じボトルを手に入れるのは難しいでしょう。ただ、専門店のリストでラベルの「Omachi」という表記を手がかりに雄町の酒を選び、冷やした状態と40〜45℃に温めた状態で飲み比べると、蔵が狙う「温めると広がる」味わいを感じ取れるかもしれません。今後この新シリーズが輸出に回るかどうかにも注目です。
参考・出典
- PR TIMES(梅乃宿酒造)「【梅乃宿酒造】地酒蔵として新たな挑戦をする日本酒!酒米「高島雄町」にこだわり、130余年の伝統と技で醸した『梅乃宿高島雄町SOL(ソル)』『梅乃宿高島雄町ARS(アルス)』を11月2日より発売」
- SAKE Street「家業から企業へ。日本酒とリキュールの二本柱でさらなる飛躍を目指す - 奈良県・梅乃宿酒造」
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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