滋賀の暑さに強い新酒米「湖響」、来春に初の酒
滋賀県が約10年かけて、暑さに強い酒米「湖響(こきょう)」を開発しました。猛暑でも従来品種の倍近い収量が見込まれ、2027年春に最初の酒が出る予定です。

猛暑で揺らいだ県独自の酒米

滋賀県は京都の東どなりにあり、日本最大の湖、琵琶湖を抱える県です。ここには、県の農業試験場(当時)が開発した独自の酒米「吟吹雪(ぎんふぶき)」があります。酒造りの最高峰とされる品種「山田錦」と、収量が安定した「玉栄(たまさかえ)」を掛け合わせたもので、1999年に品種登録されました。しかし近年は夏の高温で稲がうまく育たず、収量が大きく減っています。県産の酒米で酒を造りたい蔵の需要に応えきれなくなってきました。
10年がかりの品種改良と、その手応え
県農業技術振興センターは2016年、吟吹雪に多収の品種「吟おうみ」を掛け合わせて新品種づくりを始めました。2022〜25年の試験栽培では、同じ面積で吟吹雪の倍近い収量がありました。「心白(しんぱく)」もしっかり現れました。心白は米粒の中心にある白く不透明な部分で、麹菌が入り込みやすく、酒の出来を左右します。試験醸造した酒は口当たりがまろやかで、吟吹雪に近い味わいだったといいます。名前は75件の応募から選ばれ、「湖」は滋賀らしさ、「響」は味と香りの広がりを表します。造った酒が世界に響き渡るように、という願いも込められています。
米価高騰のなかで酒米を守る
日本では2024年から主食用米の価格が急騰しました。そのため単価の高い主食用米へ切り替える農家が増え、滋賀でも2025年には酒米づくりをやめた農家がいました。同じ年に収穫された吟吹雪や玉栄の価格は、前年の約1.8倍に上がっています。こうした状況で、湖響は酒米の生産と蔵の経営を安定させる手段として期待されています。生産者団体の代表は、先の見通しが立つ酒米づくりができるようになると歓迎しました。県の酒造組合の会長は、収量が確保できれば蔵の経営も安定すると話しています。今年は約10ヘクタールで作付けし、組合の26蔵が仕込む予定です。
ヨーロッパで楽しむなら、2027年2〜3月ごろに出る最初の湖響の酒に注目してください。ラベルの「酒米」や「原料米」の欄に「湖響」とあれば、それが目印です。比べる相手は、同じ滋賀の吟吹雪や、温暖な地域で育つ山田錦の酒が分かりやすいでしょう。まろやかさが品種の違いからどう生まれるのかを確かめられます。ワインと同じく、日本酒でも気候変動にどう向き合うかが「原料の選び方」に表れ始めています。
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