The Sake Wire

長野県、寄付で酒造りの継承と純米酒の質を支える

酒米の高騰と出荷減に直面する長野県が、純米酒の技術向上と造り手の育成にあてる資金を、ふるさと納税による寄付で集め始めた。

升やグラスに日本酒を注ぐ様子
升やグラスに日本酒を注ぐ様子 — 写真: Martin Cathrae(flickr, CC BY-SA)

日本アルプスに囲まれた本州中部の長野県には80の酒蔵があり、蔵の数は全国で2番目に多い。県は2026年5月、「信州の日本酒全国No.1プロジェクト」として寄付の募集を始めた。仕組みは、ふるさと納税(自治体に寄付すると税金の控除を受けられる日本の制度)を使う。目標額は200万円、受付は2027年3月末まで。寄付へのお礼の品はなく、集まったお金はすべて酒造りの継承にあてる。

小さな蔵を襲う三つの逆風

実りの時期を迎えた田んぼ。猛暑は酒米の品質にも影響する
実りの時期を迎えた田んぼ。猛暑は酒米の品質にも影響する — 写真: Chen Te(Pexels)

2024年、日本の「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録された。しかし酒造りの現場は苦しい。猛暑や害虫の被害で米の収穫が減り、食用の米の値段が急に上がったため、酒米をやめて食用の米に切り替える農家も出てきた。米が実る時期に気温が高いと、粒が硬く割れやすくなる。そのため酒の質が下がるうえ、同じ量の米から造れる酒も減ってしまう。県内の日本酒の出荷量は、最も多かった1973年の5分の1にまで落ちた。担い手も変わった。かつては冬の間だけ蔵に住み込む季節職人の集団が、杜氏(とうじ、醸造の責任者)を中心に技を受け継いでいた。いまは一年中働く社員や蔵元の家族が中心となり、技術をどう伝えるかが課題になっている。

「純米酒なら長野」を目指して

酒造りに使う米粒のクローズアップ
酒造りに使う米粒のクローズアップ — 写真: icon0 com(Pexels)

県が特に力を入れているのが純米酒だ。純米酒は、醸造アルコールを加えずに米・米麹・水だけで造る。米の個性がそのまま味に出る一方で、狙った味に仕上げるには高い技術がいる。長野県は「美山錦」「ひとごこち」「山恵錦」など、酒造りに向いた米の品種を独自に開発してきた。全国新酒鑑評会は、全国規模で開かれる代表的な日本酒のコンテストだ。県が公表している直近3年分の成績では、長野の金賞の数は全国3〜4位、純米酒に限ると3年続けて全国1位だった。集まった寄付は、若手杜氏の研修、県外から杜氏を招いて純米酒の技術を学ぶ研修会、県内の酒の原料分析などに使われる。

ヨーロッパでの楽しみ方

白ワイン用グラスに注がれた日本酒を味わう様子
白ワイン用グラスに注がれた日本酒を味わう様子 — 写真: Cup of Couple(Pexels)

ヨーロッパで長野の酒を探すときは、ラベルの「純米」の表示と、美山錦やひとごこちなど酒米の品種名に注目したい。冷涼な気候を生かして低い温度でゆっくり発酵させるのが信州の酒の持ち味とされる。まずは少し冷やし、白ワイン用のグラスで米の香りと旨みを確かめてみてほしい。寄付は10月の時点で目標の2%にとどまっている。それでも、県が鑑評会での実績と人材の育成に投資していることは、これから数年の長野の酒の質を見るうえで注目すべき点になる。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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