マグロのすしに合わせて設計した生酛の日本酒2種
和歌山の九重雜賀が味覚データの専門企業と組み、マグロのすしに合う生酛造りの日本酒を「ワイン型」と「日本酒型」の2つの方向で設計した。

和歌山県の蔵元・九重雜賀(Kokonoe Saika)と、東京で味覚データを分析する味香り戦略研究所(Mikaku Kaori Senryaku Kenkyusho)が、マグロのすしに合わせて設計した日本酒を2種類共同開発しました。どちらも、天然の乳酸菌を時間をかけて育てる伝統的な酒母(発酵の元)づくり「生酛造り」で仕込まれています。発売は2026年11月中旬の予定です。10月8日には、海外の流通・飲食関係者を招いた発表会が東京で開かれました。
赤酢とマグロの土地から生まれた発想

九重雜賀は1908年に赤酢の製造元として創業しました。赤酢は酒粕から造る酢で、江戸前ずしのシャリ(すし飯)に使われます。1934年からは日本酒も造っており、赤酢と日本酒を同じ蔵で手がける珍しい存在です。2021年にコーシャ認証、2023年にハラールとヴィーガンの認証を取得し、輸出にも力を入れてきました。蔵のある和歌山県には、延縄漁による生マグロの水揚げ量が日本一の勝浦漁港があります。すし、マグロ、酒造りという地元の強みを重ね合わせ、両社はテーマを「マグロのすし」に決めました。
データで比べた日本酒とワイン

味香り戦略研究所は15万件を超える味覚データベースと、特許を持つ独自のペアリング分析手法を使い、複数の日本酒とワインをマグロのすしと組み合わせて比べました。香りを含めた官能評価の結果、日本酒はマグロのうま味を長く伸ばすこと、ワインはコクと厚みで味わいの重心をつくり、余韻を楽しませることが特徴として見えてきました。
この2つの結果から生まれたのが次の2本です。「グローバルスタイル」の「雜賀孫市 純米大吟醸 生酛造り」は、ワインのようなコクと厚みを持ち、甘さを残さないドライな味わいです。純米大吟醸は、米を半分以下まで磨き、醸造アルコールを加えない、最上位の等級の一つです。国内価格は720mlで5万円(税別)です。もう一方の「ジャパニーズスタイル」の「雜賀 純米 生酛造り」は、やわらかな香りとふくらみのある味わいで、魚介特有の香りを穏やかにし、すしと一体になるよう設計されています。価格は720mlで3,000円、300mlで1,500円(いずれも税別)。アルコール度数はどちらも15度です。
ヨーロッパでの楽しみ方
現時点で、ヨーロッパでの発売時期や価格は発表されていません。ただ、海外のバイヤーを招いた発表会を開いたことから、輸出を意識した商品であることがうかがえます。この2本が手に入らなくても、考え方は試せます。マグロのすしに、生酛造りの純米酒と、コクのあるワインを並べて飲み比べてみてください。日本酒ではうま味がどれだけ長く続くか、ワインでは余韻がどう変わるかを比べると、両社が「データ」で捉えた違いを自分の舌で確かめられます。
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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