嘉之助と三郎丸、原酒を交換して生まれた一本
鹿児島の嘉之助蒸溜所が他の蒸留所と原酒を交換するシリーズを始め、第1弾として富山の三郎丸蒸留所と組んだブレンデッドモルトを発売した。
日本の南の端にある鹿児島県日置市の嘉之助蒸溜所(KANOSUKE)は2026年6月、新しいシリーズを始めた。国内外の蒸留所と原酒を交換して新しいブレンドを造る「嘉之助コラボレーションシリーズ」だ。第1弾の「01 KANOSUKE×SABUROMARU」は、日本海側にある富山県砺波市の三郎丸蒸留所の原酒を合わせたブレンデッドモルトで、6月18日に数量限定で発売された。ブレンデッドモルトは、複数の蒸留所のモルトウイスキーだけを混ぜて造るウイスキーを指す。
焼酎蔵のメローと、北陸最古の蒸留所のピート
嘉之助蒸溜所を運営するのは、日本の伝統的な蒸留酒である焼酎を140年にわたって造ってきた一族だ。1957年には、樽で寝かせた米焼酎を日本で初めて世に出している。その経験を生かして2017年に蒸溜所を開き、焼酎の熟成に使った樽を焼き直した「焼酎リチャー樽」などで熟成させた、果実味のある柔らかな「メロー」な味わいを掲げてきた。一方の三郎丸蒸留所は、1952年からウイスキーを造る北陸地方で最も古い蒸留所だ。スモーキーな味わいにこだわり、地元の銅器鋳造の技術で作った世界初の鋳造製ポットスチル「ZEMON」でも知られる。どちらも2017年にウイスキー造りを本格化させた、同世代の造り手でもある。
「Mellow Meets Peated」という設計

テーマは「Mellow Meets Peated(メローとピートの出会い)」だ。嘉之助の果実味のある原酒を主体にして、三郎丸の輪郭のはっきりしたピート原酒を重ねた。ピートの煙を前面に出すのではなく、果実味と調和させる組み立てになっている。創業者でマスターブレンダーの小正芳嗣氏は、ピート原酒の表情は設備や熟成環境によって大きく変わると話す。柔らかい嘉之助と力強い三郎丸という対照的な個性があったからこそ、どちらか単独では出せないバランスにたどり着けたという。公式のテイスティングノートには、潮風、グレープフルーツ、ライチ、はちみつ、黒胡椒、ヨード香が並ぶ。アルコール分は50%で、日本での希望小売価格は22,000円(税込)。
対になるもう一本

三郎丸蒸留所も同じ日に、同じ原酒交換から生まれた「三郎丸 龍虎 ~DOUBLE DISTILLERY~ SABUROMARU×KANOSUKE」を発売した。こちらは三郎丸のスモーキーさが軸で、嘉之助の甘さが丸みを加えている。同じ原酒の組み合わせでも、どちらの個性を主役にするかで2本の違うウイスキーができるところが、この企画の見どころだ。シリーズは02以降も、ほかの蒸留所と続ける予定だという。
どちらのボトルも、今回の発表ではヨーロッパでの販売に触れていない。数量限定の発売で、発売から4か月以上が過ぎているため、入手できるかは販売店に確かめる必要がある。もし日本のウイスキーを扱う専門店で見かけたら、2本を並べて香りを比べると違いがわかりやすいだろう。度数が50%と高めなので、まずはそのまま香りを確かめ、次に少しだけ水を加えると、潮の香りや果実香がどう開くかがわかる。強いピートのウイスキーに慣れた人にとっては、煙が果実味を支える役に回る構成が新鮮に感じられるかもしれない。
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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