福島のhaccoba、タイのサートー蔵と麹を交換
福島のクラフトサケ醸造所haccobaが、タイの米の醸造酒サートーを造るDevanomと互いの麹を持ち寄って共同醸造し、12月にタイで披露します。

麹を交換し、タイと福島で仕込む

きっかけは、haccobaの代表・佐藤太亮さんがタイ出張中にDevanomの醸造所を訪ねたことでした。そこで見たのが、タイの種麹「ルークペン」と、それを蒸した米に繁殖させてつくる麹「カオマーク」です。日本の麹とはまったく違う姿に佐藤さんは強く惹かれました。バンコクで日本酒を輸入・紹介するSakeseekerが両者を橋渡しし、共同醸造が実現しました。2026年7月にはタイで、日本から持ち込んだ白麹(酸を多く生む麹)を使って現地の米を麹にし、日本在来のホップ「唐花草(カラハナソウ)」も加えてサートーを仕込みました。8月には福島で、Devanomの醸造家Obさんたちとカオマークをつくり、唐花草と日本の米を合わせて仕込んでいます。
タイの伝統酒「サートー」とDevanom
サートーは、タイで古くから親しまれてきたもち米の醸造酒です。Devanomは2014年、ObさんとArtさんの兄弟がバンコク近郊のノンタブリーで設立しました。最初はクラフトビールやミードを造っていましたが、現在はサートーを現代的に表現する「クラフトサートー」を手がけ、タイの伝統酒のルールづくりにも関わっています。面白いのは、できあがった酒の違いです。福島の酒はカオマーク由来の酸を感じさせながらも、思った以上にクリーンで日本酒らしい味に仕上がりました。一方、タイの酒ははっきりとサートーらしい味です。麹を交換したことで、かえってそれぞれの土地の個性が見えてきたといいます。
「アジアの米の酒」をつなぐ動き

haccobaは2021年、原発事故の避難で一時は人口がゼロになった福島県南相馬市小高地区に醸造所を開きました。2023年からは隣町の浪江でも醸造しています。造っているのは、日本酒の製法をベースに、発酵の途中で副原料を加える「クラフトサケ」です。日本の酒税法では清酒ではなく「その他の醸造酒」に分類される新しいジャンルです。同社は、クラフトビールやナチュラルワインに続く流れが、韓国のクラフトマッコリやタイのクラフトサートーなど、アジアの米の酒にも広がっていると考えています。佐藤さんは、クラフトサケは日本だけの小さな現象ではなく、世界的な時代の流れの一つだと語っています。
完成した酒は、2026年12月にタイで開かれるフェスティバル「Wonderfruit」のSakeseekerパビリオンで初めて披露されます。商品の詳細はまだ発表されておらず、ヨーロッパで手に入るかどうかも分かりません。まずはhaccobaの公式発表で続報を追うのがおすすめです。もし飲める機会があれば、2本を飲み比べて、麹の交換が生んだ酸の出方の違いに注目してください。haccobaのほかのクラフトサケを見かけたら、副原料が香りにどう表れているかを探ってみるのも、この新しいジャンルの楽しみ方です。
参考・出典
- PR TIMES(haccoba)「福島の酒蔵 haccoba、タイの米の醸造酒 “SATO/ サートー” を醸す酒蔵「Devanom」とのコラボレーションを発表!」
- SAKE Street「被災地から「サケのまち」へ。震災から14年、haccobaが歩む福島とクラフトサケの現在地」
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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