愛知県が初の酒蔵支援 酒米の値上がり分を半額補てん
主食用米の不足で酒米の価格が急騰するなか、愛知県は初めて補正予算に酒蔵向けの支援金を盛り込み、値上がり分の半分を補う仕組みを打ち出しました。

値上がり分の半分を県が負担
愛知県は日本の中部にあり、県庁所在地は名古屋です。製造業のイメージが強い県ですが、県内には古くからの酒蔵も残っています。愛知県は2026年6月29日、エネルギー価格の上昇などに対応する約36億円の6月補正予算を発表しました。その中に、酒蔵向けの支援金として約1億3800万円が含まれています。愛知県が補正予算で酒蔵を支援するのは、今回が初めてです。支援額は、酒米の値上がり分の半分に、各蔵が1年間に使う酒米の量を掛けて計算します。値上がりで増えた負担を、県と蔵で半分ずつ持つ形です。大村秀章知事は記者会見で、造り酒屋は地元産業の代表であり、地域のブランドそのものだと述べ、支援の意義を強調しました。
なぜ酒米まで高くなったのか

日本酒の主な原料は米です。多くの蔵は「酒造好適米」(酒米)を使います。酒米は粒が大きく、中心にでんぷんが多い、酒造りに向いた品種です。日本では近年、毎日の食事に使う主食用米が不足し、価格が急騰しました。その影響は酒米にも広がり、価格の上昇と調達の難しさが続いています。信用調査会社の帝国データバンクによると、2025年産の酒米が前年産より4割以上値上がりした例もあるといいます。原料費が経営に大きく響く中小の蔵にとって、厳しい状況です。
中部地方で広がる自治体の支援

こうした動きは愛知県だけではありません。隣の岐阜県と三重県も、すでに酒蔵向けの支援金を予算に組み込んでいます。自治体が原料費を直接補う施策が中部地方で相次いでいることから、酒米の高騰は地域産業の存続にかかわる課題だと受け止められていることがうかがえます。
ヨーロッパで日本酒を楽しむ人にとって、このニュースはボトルの背景を知る手がかりになります。輸出価格や供給への影響はまだ分かりませんが、原料米の高騰は造り手にとって切実な問題です。購入するときは、ラベルや輸入業者の説明で、使われている米の品種と精米歩合を確かめてみてください。精米歩合とは、米の外側を削った後に残る割合のことで、数字が小さいほど多く削っています。原料の米とその産地の事情を知ると、一杯の味わいの受け止め方も変わってくるかもしれません。愛知・岐阜・三重の蔵の酒を見かけたら、原料高のなかで造りを続ける地域の一本として、手に取ってみてはいかがでしょうか。
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