The Sake Wire

サッポロ、仏産の再生農業麦芽をビールに国内初採用

サッポロビールが、フランスの製麦大手スフレモルトが再生農業で育てた大麦の麦芽「Regenova」を、日本で初めてビールに使いました。

再生農業麦芽「Regenova」の採用を伝えるサッポロビールのビジュアル
再生農業麦芽「Regenova」の採用を伝えるサッポロビールのビジュアル — 画像提供: サッポロビール(PR TIMES)(プレスリリースより)

日本の大手ビールメーカー、サッポロビール(サッポロホールディングスのグループ会社)は、フランスの大手製麦会社スフレモルト(Soufflet Malt)が造る麦芽「Regenova(リジェノヴァ)」を使ったビール「Travelogue(トラベログ)」を、2026年4月4日に発売しました。Regenovaの原料は、再生農業で育てた大麦です。同社の調べでは、この麦芽をビールに使うのは日本で初めてです。原料の段階から温室効果ガスを減らそうとする試みで、ヨーロッパの麦と日本の醸造を結ぶ新しい動きといえます。

土を健康にする大麦づくり

再生農業で育てた大麦を原料とする麦芽「Regenova」のイメージ
再生農業で育てた大麦を原料とする麦芽「Regenova」のイメージ — 画像提供: サッポロビール(PR TIMES)(プレスリリースより)

再生農業とは、畑の土に目を向け、その生態系を回復させることで土の健康を高め、作物を長く育て続けられるようにする農法です。Regenovaの原料となる大麦の畑では、毎年違う作物を植える「輪作」、土を耕す回数を減らすこと、作物のない時期に土を覆う「カバークロップ」を組み合わせています。さらに、土を分析して、肥料は必要な分だけを最適な量で使います。サッポロビールによると、化学肥料を減らせるうえに大麦の収穫量も安定し、気候変動への対応や生物の多様性を守ることにもつながるといいます。化学肥料が減ることで、温室効果ガスの排出量は、ふつうの大麦の育て方より6%以上少なくなる見込みです。

フランスの製麦会社と長く築いた関係

Regenova麦芽を使ったビール「Travelogue」
Regenova麦芽を使ったビール「Travelogue」 — 画像提供: サッポロビール(PR TIMES)(プレスリリースより)

Regenovaは、スフレモルトの再生農業麦芽「RegenAg」をもとに、サッポロビール向けに開発されました。サッポロビールには「フィールドマネージャー」と呼ばれる原料調達の担当者がいて、世界各地の産地を訪ね、生産者と直接話し合いながら原料を選んでいます。こうした仕入れ先との長年の関係が、今回の採用につながりました。同社は「脱炭素社会」と「自然と共生する社会」の実現を、サステナビリティの重点課題に挙げています。今後も再生農業を、農業の分野で温室効果ガスを減らし、生物多様性を守るための大切な手段として活用していく方針です。

「何から造るか」が問われる時代へ

実りの時期を迎えた大麦畑
実りの時期を迎えた大麦畑 — 写真: Sotiris Savvides(Unsplash)

日本のビールづくりでは、麦芽の多くを海外から輸入しています。今回の試みは、二酸化炭素の削減を工場の中だけでなく、海外の畑にまで広げたという点で注目されます。原料の産地や育て方まで説明できることは、ビールに限らず、日本のお酒全体が国際市場で信頼を得るための強みになりつつあります。

ヨーロッパの読者にとって、この話は身近です。原料の麦はフランスで育ち、それが日本のビールになりました。ただし、発表されたのは東京の醸造所「YEBISU BREWERY TOKYO」での数量限定販売だけで、ヨーロッパで手に入る予定は今のところ発表されていません。それでも、注目する価値はあります。日本の大手メーカーが、どこの麦を、どのように育てたものとして選んでいるのか。これからは、こうした点が日本のビールを選ぶときの手がかりになっていくでしょう。地元の酒屋やクラフトビールのバーで、ラベルに「再生農業(regenerative agriculture)」と書かれた麦芽のビールを見かけたら、原料の背景にも目を向けてみてください。麦の育て方を知ると、日本のビールの見え方も変わってくるはずです。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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