新潟の新設蔵、初の国際審査で全3銘柄が上位賞
新潟県十日町市松之山の新設蔵・雪と里山醸造所が、ロンドンの酒ソムリエ協会主催「Tokyo酒チャレンジ2026」に初めて出品し、全3商品がプラチナ賞・金賞を受けた。

日本酒の産地として知られる新潟県で、創業して間もない小さな酒蔵が国際品評会で注目を集めました。新潟県十日町市松之山にある雪と里山醸造所(代表:デュケット智美)は、2026年4月、ロンドンに本部を置く酒ソムリエ協会(Sake Sommelier Association, SSA)が主催する「Tokyo酒チャレンジ2026」に初めて出品しました。出品した「Snow Satoyama Sake – Satoyama Mariage Collection」の3商品は、すべてプラチナ賞か金賞を受けています。審査は各国の酒ソムリエが担当し、銘柄名やラベルを隠したブラインドテイスティングで行われました。
3銘柄の受賞内容と審査員の評価
最高賞のプラチナ賞を受けたのは「The Crystal」です。審査員は、ミント、アニス、生姜、日本の山椒を思わせる香りと、スパイスのような余韻が長く続く点を高く評価しました。金賞の「The Heritage」については、クローブやシナモンのような香りに加え、控えめな甘み、しっかりした酸、きめ細かい泡のバランスが良いと評されています。同じく金賞の「The Venus」は、ジュニパー、杉、レモングラスを思わせる香りが香水やジンにたとえられ、柑橘のニュアンスもあると評価されました。The Venusは、テイスティングの後に行われたデザイン審査でベストデザイン賞も受けています。
1回30リットル、木桶で手間をかける酒造り
松之山は日本でも有数の豪雪地帯で、山あいの農村(里山)の暮らしが今も残る地域です。蔵が使うのは、魚沼産の高級米です。その中には、合鴨農法(アイガモを田に放して雑草や虫を食べさせる農法)で農薬を使わずに育てた希少な米も含まれます。仕込みは1回わずか30リットルと非常に小さく、工程はすべて手作業です。伝統的な木桶で天然の乳酸菌の力を借りて仕込むことで、自然な酸が生まれるといいます。ろ過フィルターは使いません。搾った酒を数日寝かせ、自然に澄んだ上の部分だけを別のタンクに移す作業を何度も繰り返して、透明感を出しています。
料理と合わせることを前提にしたスタイル
受賞の発表時点で、この酒は日本国内のミシュラン星付きレストランを中心に、ごく限られた量だけが提供されていました。東京の一つ星「登喜和寿司」の三代目・小林宏輔シェフは、ワインのようにジューシーでありながら、ワインでは合わせにくい食材ともぶつからず、料理のうま味を引き立てる酸があると評価しています。蔵は今回の受賞をきっかけに、飲食店などからの新たな取引の問い合わせを受け付け始めました。
発表時点では、ヨーロッパでの販売は発表されていませんでした。ただ、主催のSSAはロンドンに拠点を置く団体なので、今回の評価はヨーロッパのソムリエにも届きやすいかもしれません。この蔵に限らず、ヨーロッパで小規模な蔵の日本酒を選ぶときは、「木桶仕込み」「無ろ過」「酸がしっかりしている」といった説明が手がかりになります。こうした酒は、白ワインと同じようにワイングラスで少し冷やし、脂ののった魚やスパイスを使った料理と合わせると、持ち味を楽しみやすいでしょう。
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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