The Sake Wire

新潟発「クラフトサケ」 免許の壁を越える新潮流

日本では清酒の新規免許が事実上取れない。酒どころ新潟では、若い醸造所が「その他の醸造酒」の免許を使い、果物を加えた酒や米をすべて麹にした酒を造っている。

免許の壁から生まれた新ジャンル

日本海側にある新潟県は、日本でいちばん酒蔵の多い県です。その新潟で、日本酒の醸造技術をもとにした「クラフトサケ」が増えています。きっかけは免許制度です。国内で売る清酒(日本酒)を造る免許は、いま新しく申請しても原則として許可されません。そのため、新しい造り手がゼロから日本酒の蔵を立ち上げることは事実上できません。

そこで使われているのが、酒税法でいう「その他の醸造酒」の免許です。日本の法律では、日本酒は「米・米麹・水」を発酵させて搾ったものと決められています。果物などの副原料を加えたり、麹にした米だけで仕込んだりすると、法律上は日本酒を名乗れません。ただし、この区分を選べば新しく参入できます。造り手は日本酒の技術を生かしながら、自由に酒を設計できるわけです。縮小が続く日本酒市場に、新しい担い手が入ってくるきっかけになっています。

佐渡島の果物を仕込む

新潟の本土の沖合に浮かぶ佐渡島(佐渡市)に、2025年末、クラフトサケの醸造所「SAKENOVA BREWERY(サケノヴァ・ブルワリー)」が開業しました。日本酒の造り方をベースに、島で採れたイチゴ、リンゴ、ミカンなどを副原料として加えています。その土地の作物を酒に取り込む考え方は、ワインのテロワールにも通じます。

米をすべて麹にする「十割麹酒」

蒸し上がった白米の粒、麹米に使われる米の質感が分かるクローズアップ
蒸し上がった白米の粒、麹米に使われる米の質感が分かるクローズアップ — 写真: Tuğba(Pexels)

柏崎市の弥栄醸造は「十割麹酒」を造っています。麹とは、蒸した米に麹菌というカビを繁殖させたもので、米のでんぷんを糖に変える役割があります。一般的な日本酒では、原料米のうち麹にするのは2割ほどで、残りは蒸した白米です。十割麹酒は、使う米をすべて麹にします。米と麹と水だけで造る点は日本酒と同じですが、配合を極端なところまで振り切った酒です。

ヨーロッパでクラフトサケを探すときは、ラベルの表記に注目してください。「日本酒」「清酒」ではなく「その他の醸造酒」と書かれているか、英語で「craft sake」とあるかが目印です。果物入りのタイプは副原料の個性がはっきり出るので、日本酒に慣れていない人も試しやすいでしょう。よく冷やし、白ワイン用のグラスで香りを確かめながら飲むのがおすすめです。十割麹酒は、ふつうの日本酒と飲み比べてみてください。麹の割合の違いが味にどう表れるかが分かりやすいでしょう。新しい醸造所の酒はヨーロッパの店頭ではまだ見つけにくいので、日本酒の専門店で取り扱いを尋ねるのが近道です。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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