建設会社が救う150年の酒蔵「喜久水」の再生
経営難で事業を一時止めた秋田の老舗蔵・喜久水酒造が、地元の建設会社の支援とクラウドファンディングで再建に動き出した。

喜久水酒造(Kikusui Shuzo)は、本州北部の日本海側にある秋田県能代市の酒蔵です。経営難で事業を一時止めましたが、同じ能代で生まれた総合建設会社・中田建設の支援を受けて再建を進めています。2026年4月8日から5月31日まで行ったクラウドファンディングには444人が参加し、目標300万円に対して約1,307万円が集まりました。達成率は435%です。
旧国鉄トンネルで眠る酒
喜久水酒造は1875年、初代の平澤喜三郎が創業しました。その前身は、1840年代から続く麹屋(酒造りに欠かせない麹をつくる店)です。地元では長く「喜三郎の酒」と呼ばれていました。大正時代に、祝いの歌の一節から「喜久水」と名づけられ、その名には尽きない喜びと繁栄への願いが込められています。現在は6代目が蔵を率いています。この蔵の大きな特徴は、かつて日本国有鉄道(旧国鉄)が使っていたトンネルを地下の貯蔵庫に変え、酒の熟成に使っていることです。代々の職人の技にこのトンネル熟成を組み合わせて、新しい銘柄を生み出してきました。
異業種の地元企業が担う再建
再建を支える中田建設は、1946年に能代で創業した会社です。土木、建築、舗装を手がけ、近年は事業承継を通じて地元の企業をグループに迎え、地域の産業と雇用を守ってきました。酒蔵の再建も、その取り組みの延長にあるとしています。何代も家族で受け継がれてきた酒蔵を、まったく別の業種の地元企業が支える形です。集まった資金は、歴史ある蔵とトンネル貯蔵庫を長く守るために使われます。キャンペーンでは段階的な目標を設け、500万円を「復活」、700万円を「究極の米づくり」としました。構想は、自社の田んぼで育てた米で造る「新しい喜久水」にまで広がっています。
ヨーロッパから新生・喜久水を待つ

支援者向けのリターンには、復活後に最初に搾る純米大吟醸をトンネルで3年または5年熟成させ、2029年と2031年に届けるプランがありました。純米大吟醸は、米と米麹だけで造り、米を大きく削って雑味を抑えた、上位に位置づけられる酒です。蔵はこれからの喜久水を「全国へ、そして世界へ」届けたいと話していますが、具体的な輸出計画はまだ発表されていません。ヨーロッパで探すときは注意が必要です。新潟県の別の蔵「菊水」も、ローマ字では同じ「Kikusui」と書かれるため、ラベルの漢字「喜久水」と産地の能代を確かめてください。復活後の酒が出回った際には、自社田の米で造った新酒とトンネルで熟成させた酒の違いに注目すると、熟成による香りや口当たりの変化が見えてくるかもしれません。最新の動きは公式Instagramで追うことができます。
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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