「純米吟醸の時代」と酒米の危機 中央会が語る日本酒の今
日本酒造組合中央会の宇都宮仁理事が、国内市場の変化、原料米の価格逆転という課題、高価格帯が支える輸出の現状を語った。

日本の酒造業者でつくる全国団体、日本酒造組合中央会(Japan Sake and Shochu Makers Association)が今年の夏、報道関係者向けのイベントを開いた。理事の宇都宮仁氏の説明は、国内の好みの変化、原料米の危機、好調な輸出の三つにまとめられる。
「純米吟醸酒の時代」と広がるスタイル
宇都宮理事は、いまの国内市場を「純米吟醸酒の時代」と表現した。日本酒には原料や造り方の条件を満たした「特定名称酒」という等級がある。米と米麹だけで造るのが「純米」、米を外側から削って重さの60%以下にし、低温でゆっくり発酵させるのが「吟醸」だ。一般的な普通酒の消費は減っているが、こうした等級の酒、なかでも純米吟醸酒は年々人気を伸ばしている。また、アルコール度数5〜8%ほどの低アルコール酒やスパークリングといった新しいスタイルも、生酛(自然の乳酸菌を生かす伝統的な造り)や木桶仕込みのような昔ながらの造りも、どちらも注目されているという。
最大の課題は「米」

最も深刻な課題とされたのは原料米だ。日本酒には「酒造好適米」(酒米)という専用の品種が使われ、ふだんは食用の一般米より高く取引される。ところが2024年の米不足で一般米の価格が急に上がり、両者の価格が逆転するという異例の事態が起きた。その影響で、酒米を作る農家が減り、蔵と農家が結ぶ契約栽培を続けることも難しくなるなど、酒造りの土台が揺らいでいる。
輸出は高価格帯が牽引、料理の幅も広がる
国内とは対照的に、輸出は好調だ。主な市場はアメリカ、中国、香港で、今後は東南アジアや中南米にも期待がかかる。海外へ出る酒は高価格帯が中心で、純米吟醸酒のような品質の高い酒が評価されている。会場では、スパイスを効かせた漬物風の料理「アチャール」との相性も試され、砂肝には熟成酒、ナスには芳醇な甘口が支持を集めた。宇都宮理事によると、カレー粉に使われるフェネグリークと熟成酒の香りには共通の成分があるという。
ヨーロッパで日本酒を選ぶなら、ラベルの「Junmai Ginjo」表記がひとつの目安になる。ただし酒米の調達難は、今後の価格や供給に影響する可能性もあり、気になる動きだ。家では熟成酒をカレーやスパイスの効いた肉料理に、まろやかな甘口をグリルしたナスに合わせてみてほしい。和食以外の料理にも日本酒の楽しみ方が広がっていることがうかがえる。
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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