The Sake Wire

酒米農家の40年を一本に 純米酒「飯田川」

秋田県潟上市の酒米農家の団体が設立40周年を迎え、地元の小玉醸造と組んで、自分たちが育てた米を使った純米酒「飯田川」を完成させた。

完成した純米酒のボトルと猪口に注がれる酒
完成した純米酒のボトルと猪口に注がれる酒 — 写真: Frederick Shaw(Unsplash)

日本酒の味わいを決めるのは、蔵の技術だけではありません。原料の米を誰がどこでどう育てたかも、グラスの中身を左右します。本州北部の日本海側にある秋田県潟上市で、酒造りに向く米を栽培する農家のグループ「飯田川酒米研究会」が設立40周年を迎えました。これを記念して地元の蔵元・小玉醸造と組み、純米酒「飯田川」を造りました。

酒米を育ててきた農家の40年

酒造好適米(酒米)とは、食用の米より粒が大きく、酒造りに向くように育種された品種の総称です。研究会は潟上市の酒米生産者でつくる団体で、その名前は市内の飯田川地区から取られています。記念酒は、農家が自分たちで育てた米を同じ土地の蔵が仕込んだものです。米の産地と造り手が近いことを、そのまま一本の酒にしています。銘柄名に地区の名前をそのまま付けたことからも、この土地の米で造った酒だということがよく分かります。

二つの米を使い分けた設計

精米された酒米の粒
精米された酒米の粒 — 写真: Mari M(Pexels)

日本酒は、蒸した米にカビの一種である麹菌を繁殖させた「麹」と、発酵中のもろみに加えていく「掛米(かけまい)」から造られます。麹は米のでんぷんを糖に変える役目を持つため、どの米を麹に使うかが味の骨格に表れます。「飯田川」では、研究会が育てた秋田県の酒米「秋田酒こまち」を掛米に、「美山錦」を麹米に使いました。仕上がりは、秋田酒こまちらしいすっきりした口当たりのあとに、美山錦のうまみが少し遅れて広がる、ふくらみのある味わいと紹介されています。

純米酒とは、米と米麹と水だけで造り、醸造アルコールを加えない日本酒の分類です。原料の米の個性が出やすいため、品種の違いを感じやすいスタイルでもあります。

ヨーロッパでの楽しみ方

この記念酒は数量限定で、主に蔵の売店で販売されています。ヨーロッパで同じボトルを手に入れるのは難しいでしょう。それでも、この話から使える楽しみ方があります。日本酒を選ぶときは、ラベルや輸入元の説明に「秋田酒こまち」「美山錦」などの米の品種名や、麹米と掛米の内訳が書かれていないか確かめてみてください。同じ純米酒でも、米が変われば口当たりや余韻が変わります。冷やしすぎず、ワイングラスに注いで温度が少しずつ上がっていく間の変化を追うと、最初のすっきり感と後から来るうまみの違いが分かりやすくなります。ワインのブドウ畑と同じように、日本酒にも米を育てる人がいることを思い浮かべながら飲むのもおすすめです。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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