The Sake Wire

一ノ蔵で甑起こし、新米で今季の仕込み開始

宮城県大崎市の酒蔵・一ノ蔵が9月26日に「甑起こし」の神事を行い、その年に収穫した新米による今季の酒造りを始めました。

日本酒の蔵では、秋に新米が届くと次の冬に向けた酒造りが始まります。東北地方・宮城県大崎市松山にある酒造会社、一ノ蔵では9月26日、本社の蔵で「甑(こしき)起こし」と呼ばれる神事が行われ、今季の仕込みが正式に始まりました。地元紙の河北新報が伝えています。

甑起こしとは何か

甑とは、酒造りに使う米を蒸すための大きな蒸し器のことです。日本酒は、蒸した米に麹(こうじ)と呼ばれるカビの一種を育て、その働きででんぷんを糖に変えながら発酵させて造ります。そのため米を蒸す工程は、酒造りの最初の大切な一歩です。甑起こしは、シーズン最初に甑を使う日に酒造りの安全を祈る儀式で、多くの酒蔵で今季の始まりを告げる行事とされています。

自社の田で育てた新米から

実りの季節を迎えた秋の稲穂や田んぼの風景
実りの季節を迎えた秋の稲穂や田んぼの風景 — 写真: Declan Sun(Unsplash)

今回使われたのは、一ノ蔵の農業部門「一ノ蔵農社」が9月2日に刈り取った早生(わせ)品種「やまのしずく」です。早生とは、ほかの品種より早く実る稲のこと。蔵人たちは約140キロの新米を直径約2メートルの甑で蒸し、麹造りに取りかかりました。酒蔵が自ら米作りまで手がけ、その米で一年の仕込みを始めるという流れは、原料から酒までを一貫して見つめる造り手の姿勢を表しています。

11月に出る「しぼりたて生酒」

しぼりたて生酒の瓶のイメージ
しぼりたて生酒の瓶のイメージ — 写真: Andy Lee(Pexels)

この新米で造る「無鑑査本醸造辛口しぼりたて生酒」は、11月12日から日本全国で販売されます。本醸造とは、米を外側から削って残った割合(精米歩合)が70%以下の米を使い、少量の醸造アルコールを加えて香りや軽さを整えた酒のこと。「しぼりたて」はもろみを搾ったばかり、「生酒」は加熱殺菌をしていないことを意味し、フレッシュで勢いのある味わいが特徴です。河北新報によると、一升瓶(1.8リットル)と四合瓶(720ミリリットル)を合わせて1万本以上が出荷される予定です。

ヨーロッパの読者にとって、加熱していない生酒は冷蔵輸送が必要なため、日本と同じ時期に手に入れるのは簡単ではありません。それでも、秋に仕込みが始まり、冬から春にかけて新酒が出回るという日本酒の季節の流れを知っておくと、ラベルの読み方が変わります。専門店で「生酒」「しぼりたて」の表記を見つけたら、冷蔵庫でよく冷やし、開けたら早めに飲み切るのがおすすめです。ラベルに記された製造時期にも目を向けると、その酒がどの季節の米から生まれたのかを思い描きながら楽しめます。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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