The Sake Wire

大分・九重町の八鹿酒造、今季の仕込み始まる

大分県の山あいにある八鹿酒造で10月1日、今季の酒造りの始まりを告げる「蔵入り」の神事が行われた。

九州の北東部にある大分県。その内陸の山あいの町、九重町(ここのえまち)にある八鹿酒造(はちくしゅぞう)で10月1日、今季の日本酒造りを始める「蔵入り」の神事が行われました。地元紙の大分合同新聞によると、作業の安全と、おいしい酒に仕上がることを祈ったということです。日本の酒蔵にとって、新しい季節の始まりを示す節目の行事です。

「蔵入り」とは何か

神社に奉納された酒樽
神社に奉納された酒樽 — 写真: Adelien Vandeweghe(Pexels)

日本の多くの酒蔵では、酒造りは気温が下がる秋から翌年の春にかけて集中的に行われます。その季節の初めに、蔵人(くらびと、酒造りの職人のこと)が仕事に入る前に、作業の安全と酒の出来を祈るのが「蔵入り」の神事です。酒造りは、麹菌や酵母といった目に見えない微生物の働きに大きく頼っています。そのため、日本の酒蔵では昔から神事が大切にされてきました。ヨーロッパのワイン産地で行われる収穫祭のような、季節の区切りを示す行事と考えるとわかりやすいでしょう。

山あいの蔵で始まる冬の仕事

九重町は山に囲まれた高原の町で、秋が深まると朝晩の冷え込みが厳しくなります。低い気温は、雑菌の繁殖を抑えながら発酵をゆっくり進めたい酒造りにとって良い条件です。蔵では、米を蒸し、麹(米に麹菌を育てたもの)をつくり、酒母(しゅぼ、発酵のスターター)、もろみ(発酵中の液体)へと工程が進みます。新酒が搾られるのは、通常は冬から春にかけてです。今回の神事は、その長い季節の出発点にあたります。

ヨーロッパで楽しむには

酒蔵の季節の流れを知ると、ボトルの選び方も変わります。ラベルに「新酒」や「しぼりたて」とあれば、その冬に搾ったばかりの若い酒で、フレッシュで生き生きとした香りが特徴です。一方「ひやおろし」は、冬から春に搾った酒を夏の間寝かせ、秋に出荷するもので、より穏やかでまろやかな味わいになります。ヨーロッパの専門店で日本酒を選ぶときは、製造年月の表示に注目し、同じ蔵の新酒と熟成した酒を飲み比べてみてください。大分県など、ヨーロッパではまだあまり知られていない九州の蔵の酒を見つけたら、山あいの蔵で始まった今季の仕込みを思い浮かべながら味わってみるのもよいでしょう。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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