The Sake Wire

廃業した青森の銘酒「菊駒」、同業の手で復活を目指す動き

2023年に生産を止めた青森県五戸町の日本酒「菊駒」が、商標を受け継いだ地元の八戸酒類によって昔ながらの造りで再現され、再び世に出ることになった。

日本酒の瓶と猪口が並ぶ様子
日本酒の瓶と猪口が並ぶ様子 — 写真: Andy Lee(Pexels)

途絶えかけた県南の銘酒

五戸町(ごのへまち)は、本州の最北端にある青森県のうち、太平洋側の南東部で「県南」と呼ばれる地域の小さな町です。この町の菊駒酒造が造る「菊駒」は、県南を代表する地酒として長く親しまれてきました。しかし新型コロナウイルス禍で販売が落ち込み、菊駒酒造は2023年に生産を止め、その後に破産しました。

日本では需要の減少や後継者不足で酒蔵の廃業が続いています。その一方で、別の会社が蔵やブランドを引き継ぐ動きも目立ってきました。日本酒専門メディアのSAKE Streetは、だしブランド「茅乃舎」で知られる久原本家グループや、みその大手マルコメによる酒蔵の承継を「攻めの承継」として取り上げています。菊駒の場合は、同じ地域の同業者が銘柄を守る形をとりました。

昔の造りを再現した2種類

酒造りに使う精米した米粒
酒造りに使う精米した米粒 — 写真: Petr Ganaj(Pexels)

菊駒の商標を受け継いだのは、隣の八戸市に本社を置く八戸酒類です。同社は日本酒「如空(じょくう)」を造る五戸町内の工場で、2026年1月に青森県産の米を使って仕込みを行いました。菊駒で昔から続いてきた製法を忠実に再現したといいます。青森放送は4月、熟成が順調に進み、5月の発売を見込んでいると伝えました。

用意される予定だったのは2種類です。「純米」は米と米麹と水だけで造る区分で、うま味としっかりしたコクが特徴です。「純米吟醸」は原料米を外側からより多く削って丁寧に造る、ひとつ上の区分にあたります。こちらは上品で、どこか懐かしさを感じさせる味わいとされています。

注目したいのは、菊駒酒造の元社長である三浦弘文さんが、いまは八戸酒類の営業担当として復活を支えていることです。三浦さんは、発売はゴールではないと話します。まず飲んでもらい、味を確かめてもらい、意見を聞く。そこからが本当のスタートだという考えです。初年度は生産量が限られるため、販売は地元の五戸町と新郷村の酒販店に限られる予定とされていました。

ヨーロッパでどう楽しむか

菊駒は当面は地元だけで売られる予定のため、ヨーロッパで手に取るのは難しいでしょう。ただ、銘柄が別の会社に引き継がれる例は日本で増えています。同じ名前のお酒でも、造り手が変わっていることがあります。輸入された日本酒を選ぶときは、裏ラベルの製造者名と所在地を確かめてみてください。そのお酒の背景が見えてきます。

青森の日本酒を見つけたら、純米タイプは常温かぬる燗(40度前後に温めたもの)にすると、うま味がよく感じられます。ロースト野菜や熟成チーズと合わせるのもおすすめです。純米吟醸タイプは軽く冷やしてワイングラスで香りを楽しみ、白身魚のカルパッチョのような繊細な料理と合わせてみてください。

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