The Sake Wire

新潟・笹祝、新杜氏の12度原酒「BAMBOOSHOOTS」

38年続いた杜氏が引退した新潟の笹祝酒造で、若い新杜氏が四つの技法を組み合わせた12度の低アルコール原酒を発表した。

酒蔵(イメージ)
酒蔵(イメージ) — 写真: Celuici(wikimedia, CC BY-SA)

新潟市西蒲区の笹祝酒造(ささいわいしゅぞう)が、2026年9月に新シリーズ「笹祝 BAMBOOSHOOTS -EPISODE 1-」を発売しました。造りを率いるのは新しく杜氏になった大野雄介さんと、若い製造チームです。杜氏とは、酒蔵で造り全体に責任を持つ醸造責任者のことです。この酒はアルコール分12%で、水をほとんど加えない「原酒」です。日本酒の多くは15%前後なので、かなり軽めといえます。昨年の試験醸造で好評だった酒を、新しいラベルで正式なシリーズにしました。

38年ぶりの杜氏交代

畠山洋一さんは38年にわたって杜氏を務め、地元で親しまれてきた「笹祝」の味を守ってきました。その畠山さんが2024酒造年度を最後に引退しました。後を継いだのは、畠山さんのもとで4年間学んだ大野さんです。2025年の冬から造りの指揮をとっています。大野さんは、蔵に昔からある酒を守りながら新しい日本酒も生み出したいと考えています。そのために新潟県の内外の酒蔵を訪ね、研修を重ねてきました。新潟では、上越市の妙髙酒造でも2025年に36年ぶりの杜氏交代がありました。ベテランから若い世代への引き継ぎは、この地域のいまの流れのひとつです。シリーズ名の「BAMBOOSHOOTS」は英語で「タケノコ」のことです。地面から顔を出したばかりの若いチームが、これから真っすぐ伸びていくという決意を込めています。

「酸貴白低」という四つの技法

蔵は、この酒の設計を「酸貴白低(さんきはくてい)」という四文字で表しています。「酸」は酒母(しゅぼ)に乳酸菌を加える方法です。酒母は発酵のもとになる酵母を増やす工程で、乳酸菌は新潟県醸造試験場で培養したものを使います。「貴」は仕込み水の一部を自社の清酒に置き換える古い技法で、この方法で造る酒は一般に「貴醸酒」と呼ばれます。濃い味わいと上品な風味が出やすいとされます。「白」は、主に焼酎に使われる白麹(しろこうじ)を一部に使うことです。白麹が作る多くのクエン酸が、冷やしたときの雑味を抑え、爽やかさと複雑さにつながると蔵は考えています。「低」は低アルコールの原酒であることです。水で薄めて度数を下げるのではなく、大野さんが県外の研修で学んだ技術を使い、12%でも旨味と飲みごたえが残るように仕上げました。

地元の古い米「亀の尾」

原料米は、蔵と同じ西蒲区にある「そら野ファーム」で育った亀の尾を100%使っています。亀の尾は歴史の古い酒米の品種ですが、蔵は今後使う米を変えていく予定だとしています。精米歩合は65%です。精米歩合とは、削ったあとに残る米の割合のことで、65%なら外側の35%を削ったことになります。火入れ(加熱殺菌)をしてあるので、常温で流通させることができます。国内価格は720mlで2,420円(税込)で、特約店だけで販売されます。シリーズは三部作の予定です。辛口の「EPISODE 2:DRY」は2027年春の発売を目指しています。

この酒は国内の特約店でしか売られておらず、ヨーロッパで出回るかどうかは今のところわかりません。まずは「笹祝」と「BAMBOOSHOOTS」という名前を覚えておき、取り扱いのある店に問い合わせてみるのがよいでしょう。見どころは、12%という度数でどれだけ飲みごたえが出せるかです。白麹は冷やしたときの雑味を抑える目的で使われているので、まずは冷やして、甘味と酸味のバランスを確かめてみてください。低アルコールの酒はワインのように食事と合わせやすいので、酸味や旨味のある料理と一緒に試す価値があります。

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