米騒動で揺れる酒米、長野の酒蔵が農家と手を結ぶ
主食用米の高騰で酒米から離れる農家が出た長野県で、酒蔵が契約栽培などを通じて農家との連携を深め、原料を守ろうとしている。

日本でコメが店頭から消えた「令和の米騒動」は、日本酒の原料にも影響した。長野県は本州の中央部にある山の多い県だ。信濃毎日新聞によると、ここでは昨年、酒造りに使う米(酒米)の栽培をやめ、値上がりした主食用米に切り替える農家が出た。原料が手に入らなくなるおそれに危機感を強めた酒蔵は、農家とのつながりを作り直そうとしている。
食卓の米が酒米を押しのけた
酒米(酒造好適米)は、醸造に向くように育てられた米の品種群だ。粒が大きく、中心に「心白」と呼ばれるでんぷん質の白い部分がある。ふだん食べる米とは別に育てられ、栽培にも手間がかかる。主食用米の値段が急に上がれば、同じ田んぼで食べる米を作るほうが農家にとって有利になる。長野県でもこうした切り替えが起き、酒蔵は必要な原料を確保できるのかという問題に直面した。記事によると、必要な量をなんとか集められた蔵も、質の高い酒米を将来にわたって安定して得られる仕組みが必要だと改めて感じたという。
契約栽培で結び直す蔵と田んぼ

そこで各蔵が力を入れているのが、農家との連携だ。酒米を育ててもらう約束を前もって結ぶ契約栽培などで農家を支え、その米が育った背景を商品の価値として伝えようとしている。長野県南部の飯島町では、宮島酒店の契約農家が農薬を使わずに酒米を育てる田んぼで、参加者が草取りをする催しも開かれた。蔵と農家、そして飲み手が同じ田んぼに立つこうした取り組みは、原料の調達を値段だけで決まる取引から、長く続く関係に変えようとする試みといえる。
ヨーロッパの飲み手にとっての意味
酒米の確保が不安定になれば、いずれ輸出される日本酒の量や価格にも影響が出るおそれがある。ヨーロッパで日本酒を選ぶときは、裏ラベルや輸入業者の説明に、酒米の品種名や産地、契約栽培・無農薬栽培といった記載があるかを見てほしい。米の出どころを示している酒は、蔵が原料に向き合っていることをうかがわせる手がかりになる。長野の酒を見かけたら、ワインのぶどう畑を思い浮かべるように、その後ろにある田んぼを想像してみると、一杯の印象が変わるかもしれない。
参考・出典 信濃毎日新聞「「令和の米騒動」で危機感、酒米の安定確保へ酒蔵が農家と連携 長野県内で続く模索」 https://www.shinmai.co.jp/news/article/gf01d9k4qcbobcmkr5fn27jg
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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