魚沼コシヒカリを90%精米で醸す「飯米醸造」
新潟のFERMENT8が、食卓の白米とほぼ同じ精米歩合90%の魚沼産コシヒカリで醸す日本酒「廣新 飯米醸造」を発売した。

日本酒は通常、「酒米」と呼ばれる専用の品種から造られます。新潟県のFERMENT8(ファーメントエイト)は、この常識に別の角度から挑んでいます。同社は2026年9月15日、日本で最も有名な食用米の一つである魚沼産コシヒカリを、家庭で炊く白米とほぼ同じ状態のまま醸した「廣新(ひろしん)飯米醸造」を発売しました。魚沼は新潟県南部の山あいの地域で、コシヒカリの名産地として国内で高く評価されています。
同じ米で、両極端から中間へ

「廣新」は、魚沼産コシヒカリを酒の原料として見直すプロジェクトです。名前は、共同で取り組む覺張(かくはり)氏の家に伝わる屋号に由来します。最初の酒は、米を大きく削った純米大吟醸でした。次は反対に、農薬を使わずに育てた玄米をまったく削らずに醸した「玄米醸造」です。そして3作目が、その中間にあたる今回の酒です。なお、このプロジェクトから生まれたコシヒカリの酒は、同じ新潟県の津南醸造の「GO」シリーズにも採用され、現在も国内外で販売されています。
コイン精米機で削った「90%」

「精米歩合」とは、玄米を削った後に残る米の割合です。大吟醸酒では50%以下まで削るのが一般的で、外側のたんぱく質や脂質を取り除くことで香りが華やかで軽快な酒になりやすいとされます。一方、普段食べる白米は約1割を削った状態、つまり精米歩合およそ90%です。今回の米は、酒造用の特殊な精米機ではなく、日本の街角にある一般的なコイン精米機で削られました。醸造は津南醸造が担当し、アルコール分は15.5%、150mlの小瓶で少量生産です。一般に、あまり削らない米で造った酒は旨みや甘みがしっかり出る傾向があるとされます。
食用米と酒米の間に道をつくる

FERMENT8が問題にしているのは、食用米と酒米が別々の市場で動いていることです。酒の需要が減れば酒米が余り、食用米では不足や価格高騰が起きることもあります。しかし米の生産量はすぐには調整できません。日常的に食べる米でも酒が造れれば、農家にとって米の行き先が増えます。同社は、これは酒米を否定するものではないと明言し、考え方をまとめた書籍『飯米醸造』(樺沢敦著)も刊行しました。
この酒自体はまだヨーロッパには届いていませんが、注目点は明確です。ラベルの精米歩合を見て、70〜90%台の「あまり削らない」酒を探してみてください。大吟醸の繊細な香りとは違う、米そのものの厚みを感じられるかもしれません。温度を少し上げたり、ご飯に合う和食や煮込み料理と合わせたりすると、その個性が分かりやすくなることがあります。コシヒカリの酒を試すなら、海外でも流通する津南醸造の「GO」シリーズが入口になるでしょう。
参考・出典
- PR TIMES(株式会社FERMENT8)「コシヒカリから日本酒チャレンジ。純米大吟醸、玄米醸造につづき、食べるままの白米から「飯米醸造」を発売。」
- SAKE Street「日本酒の「精米歩合(せいまいぶあい)」とは?高い・低いと味はどう変わる?数字からわかる特徴を解説」
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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