愛媛の老舗蔵「鯉の勢」、シンガポールで好調
創業140年の愛媛・小泉酒造が、鯉が龍になる物語をまとった「鯉の勢」をシンガポールの店頭で売り出し、海外販路の拡大に乗り出した。

日本の四国の西部にある愛媛県八幡浜市で、1886年から酒を造ってきた小泉酒造(Koizumi Shuzo)。この小さな地方の蔵が、ブランド「鯉の勢(Koinose)」で海外に踏み出しました。シンガポールの商業施設「プラザ・シンガプーラ」にあるMUJIの店内売場「Community Market」で売れ行きが良く、同社はこれを足がかりに海外での販路拡大を本格的に始めると発表しています。
鯉が龍になる物語をラベルに
銘柄名は、滝を登りきった鯉が龍になるという中国の故事にちなみます。勢いや生命力、挑戦する心を表したこの物語は、中華系の住民が多いシンガポールで受け入れられやすく、名前の意味やラベルのデザインに関心を持つ客が多いといいます。黒と金を基調にした重厚なラベルは店頭でも目を引き、贈り物や特別な食事に合う酒として評価されているそうです。
味の違う3本と料理の組み合わせ
2026年春の新酒として出したのは、純米大吟醸・純米吟醸・大吟醸の3種で、4月15日に一般販売が始まりました。「吟醸」「大吟醸」は米を多く削って香りを引き出す上位の等級で、「純米」は醸造アルコールを加えず、米と米麹と水だけで造ったものを指します。純米大吟醸は豊かでやや甘口の味わいで、肉料理に合わせやすい酒。純米吟醸は軽やかながらコクのあるやや甘口で、魚介やあっさりした料理に向きます。大吟醸は辛口寄りで軽快な味わいで、兵庫県産の酒米「山田錦」だけを使っており、フルーティーな香りと、旨みと酸味のバランスが特長です。最初の生産は各240本、計720本という少量でした。取り扱いは直販が中心で、東京・銀座の高級寿司店や六本木の焼肉店にも置かれています。
小さな蔵が海外で売るための工夫

小泉酒造によると、現地では見た目の美しさに加えて飲みやすさや香りの華やかさ、後味の良さも評価されており、日本酒を飲み慣れた人だけでなく、本格的な日本酒が初めての人にも選ばれているそうです。同社は発表の時点で、新商品の開発を続けるほか、酒造りの工程を学べる見学会や体験会を通じて、日本酒の文化や技術を国内外に伝えていく計画を示していました。
ヨーロッパでの取り扱いは、今回の発表では触れられていません。それでもこの例からは、大きな生産量がない地方の蔵が、分かりやすい物語と、料理に合わせて選べる味の設計で海外の売場に入っていく方法が見えてきます。日本酒専門店でボトルを選ぶときは、ラベルに書かれた等級と甘口・辛口の表示を見てみてください。今回の3本を例にすると、甘めの純米大吟醸はロースト肉に、純米吟醸は魚介に、辛口の大吟醸は軽い前菜に合わせる、という選び方ができます。
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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