The Sake Wire

石巻の廃校跡に市内初のワイナリー、5000本へ

東日本大震災の被災地・宮城県石巻市で、中学校の跡地にできたワイナリーが初めての仕込みを始め、今季は赤・白・オレンジの計5000本を目指している。

ワイン(イメージ)
ワイン(イメージ) — 写真: Miriam Fischer(Pexels)

日本の北東部、宮城県の太平洋沿岸にある石巻市は、2011年の東日本大震災で大きな被害を受けた港町です。地元紙の河北新報によると、市内の雄勝(おがつ)地区では、旧雄勝中学校の跡地にできた施設「モリウミアス マリン&フード」で、初めてのワイン造りが始まりました。ワイナリーとカフェを備えた複合施設で、石巻市内でワイナリーができるのはこれが初めてです。今季は赤・白・オレンジの3タイプで計5000本の生産を目指しています。

隣の県のブドウと天然酵母で

収穫されたばかりの白ブドウと黒ブドウ
収穫されたばかりの白ブドウと黒ブドウ — 写真: Gabriella Clare Marino(Unsplash)

原料のブドウは、南西隣の山形県から仕入れています。山形県は日本でも有数の果樹産地として知られています。作業は8月末に始まり、報道の時点で仕込んでいたのはデラウェアとセイベルを使った白とオレンジの2商品です。デラウェアは日本で古くから生食用としても親しまれている、小粒で淡い赤紫色のブドウです。セイベルはフランス系の交配品種で、寒さに強いため日本の冷涼な産地でも栽培されています。いずれもヨーロッパのワイン産地ではあまりなじみのない品種で、日本ワインらしい個性の源のひとつといえます。

茎を外して搾り、タンクで発酵

ステンレスタンクで発酵中のワイン
ステンレスタンクで発酵中のワイン — 写真: Magda Ehlers(Pexels)

造りの手順は、まずブドウの房から茎を取り除き、圧搾します。その果汁を、培養酵母を加えずにブドウや環境にもともといる天然酵母でタンク内で1次発酵させます。天然酵母を使うと発酵のスピードや香りの出方が読みにくくなりますが、その土地やその年ならではの味わいが出やすくなります。初年度からこの方法を選んだことから、手作りの小さな規模で個性を出そうとする姿勢がうかがえます。

ヨーロッパでの楽しみ方

初年度で5000本という小さな規模のため、このワイナリーのワインがすぐヨーロッパに届くとは考えにくいでしょう。それでも、この話は日本ワインの今を知る手がかりになります。ヨーロッパで日本ワインを扱う専門店やレストランを見かけたら、ラベルにある「Delaware」や「Seyval」という品種名に注目してみてください。ヨーロッパのワインとは違う、軽やかで果実味の豊かなスタイルに出会えるかもしれません。オレンジワインが好きな人は、日本産のものを探して、魚介料理やだしの効いた和食と合わせてみるのもおすすめです。震災を経験した海辺の町で廃校が新しい醸造所に生まれ変わるという背景を知っておくと、一杯をより深く味わえるでしょう。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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