The Sake Wire

富山最古の蔵、400年記念の純米大吟醸2種

富山県最古の酒蔵・林酒造場が創業400年を記念し、地元産の五百万石と希少な酒米「愛山」で醸した純米大吟醸を各400本限定で発売した。

富山県最古の酒蔵・林酒造場の創業400周年記念酒
富山県最古の酒蔵・林酒造場の創業400周年記念酒 — 画像提供: PR TIMES(林酒造場)(プレスリリースより)

蔵のある土地の米と水で表す「境」のテロワール

創業400年を迎えた富山県朝日町の林酒造場
創業400年を迎えた富山県朝日町の林酒造場 — 画像提供: PR TIMES(林酒造場)(プレスリリースより)

林酒造場(Hayashi Shuzojo)は1626年、日本海側の富山県朝日町境(さかい)で創業しました。加賀藩(江戸時代に現在の石川県と富山県を治めた大名家)の関所に勤めていた武士が、酒造りを始めたのが起こりとされています。蔵の近くでは、北アルプスの山々が断崖となって海へ落ち込んでいます。記念酒の1本目「五百万石」版は、蔵のある境地区の田んぼで育った酒米「五百万石」だけを使います。仕込み水は、北アルプスの雪解け水が急な地形を地下で流れ下るあいだに自然にろ過された伏流水です。この地区では人口が減り、農地を維持するのが難しくなっていました。田んぼを酒米づくりに戻すこの取り組みには、土地の風景を次の世代に残す意味もあります。さらに蔵は創業400年に合わせて、古い仕込み蔵の神棚の近くから新しい蔵付き酵母を採取しました。「ハヤシ400」と名付けたこの酵母を、2本とも仕込みに使っています。

扱いの難しい酒米「愛山」を手仕事で醸す

丁寧に手作業で扱われる酒米の粒
丁寧に手作業で扱われる酒米の粒 — 写真: Petr Ganaj(Pexels)

2本目は、兵庫県産の「愛山」だけで造ります。愛山は流通量が少なく、酒米の中でも特に扱いが難しいと言われる品種です。この繊細な米に対して、蔵は二つの手法をとりました。一つは、麹をすべて「麹蓋」という小さな木箱で育てる方法です。広く使われている方法と比べて10倍以上の手間がかかるといいます。もう一つは、米を10kgずつに分けて洗い、吸わせる水の量をグラム単位で調整する洗米です。一方で、若い蔵人が醪(もろみ)の温度や発酵の進み具合をデジタルで記録し、職人の経験を数字で確かめて次の造りに生かしています。

記念酒の仕様と、蔵が積み重ねた評価

林酒造場の400周年記念酒
林酒造場の400周年記念酒 — 画像提供: PR TIMES(林酒造場)(プレスリリースより)

2本とも純米大吟醸です。これは、米・米麹・水だけで造り、米を元の重さの半分以下まで削ることが条件となる、日本酒の最上位の等級です。容量は720ml、アルコール度数は16度で、それぞれ400本限定、ボトルにはシリアルナンバーが入ります。価格はどちらも25,000円(税抜)です。2026年10月25日に発売し、販売は蔵と日本国内の取扱店32店舗に限られています。杜氏(醸造責任者)の林秀樹氏の率いる蔵は、全国新酒鑑評会で富山県の蔵として初めて5年連続の金賞を受けました。看板銘柄の「林」は、2026年のIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)でもメダルを獲得しています。

ヨーロッパでの販売予定は、今回の記念酒については発表されていません。ヨーロッパの読者に注目してほしいのは、蔵の考え方がよく表れた「林」の純米吟醸シリーズです。精米歩合(削った後に残る米の割合)をすべて55%にそろえ、五百万石・山田錦・雄町と、酒米だけを替えて造っています。並べて飲めば、ワインのブドウ品種の飲み比べのように、酒米による味の違いがつかめます。蔵は「食事に寄り添う酒」を掲げているので、やや冷やして白ワイン用のグラスに注ぎ、魚料理や野菜料理と合わせると特徴が分かりやすいでしょう。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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