The Sake Wire

150年の酒蔵・喜久水酒造、事業停止からの復活

2024年に事業を停止した秋田県能代市の老舗・喜久水酒造が、地元の建設会社の支援で酒造りを再開し、新しい酒を送り出した。

酒蔵(イメージ)
酒蔵(イメージ) — 写真: Celuici(wikimedia, CC BY-SA)

秋田県は本州の北部、日本海側にある米どころです。その北西部の港町・能代市で1875年から酒を造ってきた喜久水酒造(Kikusui Shuzo)は、2024年10月末に経営難で事業停止に追い込まれました。約150年続いた蔵を救ったのは、同じ能代で創業した建設会社でした。支援を受けて酒造りを再開した喜久水は新商品を発売し、いまは市内で唯一の酒蔵として、受け継いできた味を守ろうとしています。

売り上げの落ち込み、そして全員解雇

喜久水を追い詰めたのは、日本の消費者の日本酒離れでした。そこへ新型コロナウイルスの流行が重なり、売り上げが大きく落ち込みました。打てる手を尽くしても立て直せず、蔵は8人の従業員全員を解雇して事業を止めるしかありませんでした。

喜久水は、白神山地(秋田県と青森県にまたがり、ブナの原生林で知られる山地)の伏流水で仕込む「縄文能代」や「喜三郎の酒」を看板商品にしてきました。トンネルを利用した地下貯蔵庫で酒を熟成させる蔵としても知られていました。

復活した蔵が出した7種類の酒

蔵出しされた日本酒の瓶が並ぶ様子のイメージ
蔵出しされた日本酒の瓶が並ぶ様子のイメージ — 写真: Andy Lee(Pexels)

建設会社の支援で再出発した蔵には、「喜久水」と墨で書かれたラベルの新しい酒が7種類並びます。純米酒(米、米麹、水だけで造る酒)は、バナナを思わせるまろやかな香りが特徴です。純米吟醸酒(米の外側を40%以上削り、低温でゆっくり発酵させた純米酒)は、リンゴのような軽やかな味わいに仕上がりました。

造りの責任者である杜氏(とうじ)の平沢喜一郎さん(51)は、1本1本の味の違いを楽しんでもらえる、これまでの喜久水にはなかった酒ができたと話します。

ヨーロッパでの楽しみ方

ワイングラスに注いだ日本酒(イメージ)
ワイングラスに注いだ日本酒(イメージ) — 写真: Anna Kumpan(Unsplash)

再開したばかりの蔵のため、ヨーロッパで手に入るかどうかは日本酒専門店や輸入業者に尋ねるのが確実です。探すときは、新潟県の「菊水」(漢字が異なる別の蔵)と混同しないよう、秋田県能代市の蔵であることを確かめてください。手に入った場合は、純米と純米吟醸を飲み比べるのも一案です。白ワイン用のグラスに注ぎ、冷やしすぎずに香りを比べると、バナナ系とリンゴ系の違いが感じられるかもしれません。1本の酒の背後には、地域の支えで生き残った小さな蔵の物語があります。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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