The Sake Wire

いぶりがっこの漬け汁と酒粕から生まれたジン

秋田の燻製たくあん「いぶりがっこ」の漬け汁と、クラフトサケの酒粕。捨てられがちな2つの副産物を使ったクラフトジン「秋田県ジン」が登場した。

いぶりがっこの漬け汁と酒粕から生まれた「秋田県ジン by agataJapan」
いぶりがっこの漬け汁と酒粕から生まれた「秋田県ジン by agataJapan」 — 画像提供: PR TIMES(SANABURI)(プレスリリースより)

日本各地の特産品をクラフトジンにする「県ジンプロジェクト」の第22弾として、「秋田県ジン by agataJapan」が発表されました。つくったのは、北日本の秋田県男鹿市にある早苗饗(さなぶり)蒸留所です。原料には、燻製したたくあん「いぶりがっこ」の製造で残る漬け汁と、クラフトサケ醸造所の酒粕を使っています。どちらも、これまで使い道が少なかったものです。先行販売はクラウドファンディングサイトのCAMPFIREで始まり、発表時には、その後はベトナムなど海外でも売る予定とされていました。

使われずに残っていた「漬け汁」

いぶりがっこは、大根を薪の煙でいぶしてから、米ぬかや塩、砂糖で漬け込んだ秋田の伝統的な漬物です。日本全国で人気が高まる一方で、漬け込みに使った液はたっぷりの砂糖・塩・米ぬかを含んでいるのに、漬け終わるとほとんど使い道がありませんでした。今回のジンは、この漬け汁を主役のボタニカル(香りづけの素材)にしています。いぶりがっこをつくる過程で出るものを、丸ごと生かそうという試みです。

酒粕を蒸留する小さな蒸留所

プレスリリースに掲載された、秋田県ジンの製造にまつわるイメージ写真
プレスリリースに掲載された、秋田県ジンの製造にまつわるイメージ写真 — 画像提供: PR TIMES(SANABURI)(プレスリリースより)

株式会社SANABURIが運営する早苗饗蒸留所は、2023年に設立され、2025年1月に稼働を始めました。関連会社の「稲とアガベ」は、日本酒の造り方をもとに副原料を加える「クラフトサケ」という新しいジャンルの酒蔵です。酒粕は酒をしぼったあとに残る固形分で、捨てられてしまうことも多いものです。蒸留所はここからアルコールを取り出し、蒸留酒に変えています。昔の農家は、酒蔵から買った酒粕を蒸留して田植え後の祭り「早苗饗」で飲み、残りかすを畑の肥料にしていたといいます。蒸留所の名前は、この習慣から来ています。

燻製香とジュニパーの組み合わせ

プレスリリースに掲載された秋田県ジンの商品イメージ
プレスリリースに掲載された秋田県ジンの商品イメージ — 画像提供: PR TIMES(SANABURI)(プレスリリースより)

いぶりがっこの燻製香はとても強いので、全体のバランスを重視して仕上げたそうです。ジンらしいジュニパーベリーの香りに、燻製の香りとほのかな酸味が重なり、野菜からくる丸みのある甘さも感じられるといいます。容量は500ml、アルコール度数は40%、日本での価格は6,600円(税込)です。企画と販売は、47都道府県すべてで1本ずつ「県ジン」をつくる計画を進めるスターマーク株式会社が担当しています。

発表時点では、ヨーロッパでの発売は発表されていません。まずは、同社がホーチミンで運営するカフェを含む海外での展開がどう進むかに注目したいところです。手に入ったら、最初はストレートか大きめの氷で飲み、燻製香と酸味がどう出ているかを確かめてみてください。そのあとトニックで割れば、香りの印象の変化がわかります。燻製の魚やハード系チーズと合わせるのもよさそうです。いぶりがっこはヨーロッパの日本食材店で見かけることもあるので、ジンの隣に一切れ添えて飲み比べるのも一案です。また、酒粕を蒸留酒に生かす動きは、日本の酒造りで広がり始めた循環の取り組みの一つとしても覚えておく価値があります。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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