The Sake Wire

「望 bo:」に生酛純米の新作、秋田酒こまちの火入れ酒

海外17カ国に輸出する栃木の外池酒造店が、秋田酒こまちを生酛で醸した数量限定の純米酒を9月17日から出荷した。

『望 生酛純米 秋田酒こまち 無濾過瓶燗火入れ』のボトル
『望 生酛純米 秋田酒こまち 無濾過瓶燗火入れ』のボトル — 画像提供: 外池酒造店(PR TIMES)(プレスリリースより)

東京の北に位置する栃木県益子町の蔵元、外池酒造店(1937年創業)は2026年9月17日、看板ブランド「望 bo:」の新作『望 生酛純米 秋田酒こまち 無濾過瓶燗火入れ』を全国の特約店向けに出荷開始した。春に搾って火入れした酒をひと夏蔵で熟成させたもので、秋田県産の酒米「秋田酒こまち」を使い、精米歩合は65%、アルコール度数は16度。同社によれば、過去に関東信越国税局酒類鑑評会で最優秀賞(第1位)を獲得した製法を踏襲している。

「明日の日本酒への挑戦」を掲げるブランド

「望 bo:」ブランドの日本酒
「望 bo:」ブランドの日本酒 — 画像提供: 外池酒造店(PR TIMES)(プレスリリースより)

「望 bo:」は2012年に造りを始めた比較的新しいブランドで、2013年から2026年8月末までの累計出荷本数は1.8Lと720mlを合わせて22万本を超えた。特徴は仕様の一貫性にある。醸造アルコールを加えない「純米」、濾過をしない「無濾過」、加水しない16度の「原酒」というルールをシリーズ全体で統一し、米の個性をそのまま瓶に閉じ込めることを狙っている。外池酒造店は2026年3月時点で17カ国に輸出しており、2022年のフランスKura Masterでの総合1位、2023年と2024年のUS Sake Appraisalグランプリ、2026年のInternational Wine Challengeトロフィーなど、海外コンテストでの受賞歴が厚い蔵だ。

乳酸を添加しない「生酛」と、ひと夏の熟成

今回の新作の核となるのは「生酛(きもと)造り」という伝統技法である。現代の一般的な日本酒造りでは酒母の雑菌を抑えるために乳酸を添加するが、生酛では蔵に棲む天然の乳酸菌を時間をかけて育てる。手間はかかるが、奥行きのある旨味と軽やかな酸が生まれるとされる。担当するのは南部杜氏と下野杜氏の両方の資格を持つ杜氏、小野誠氏で、職人の感覚とデータ管理を組み合わせて仕上げた。搾った酒は瓶に詰めてから湯で加熱殺菌する「瓶燗火入れ」を施し、蔵内で夏を越して味をまろやかに整えている。秋田酒こまちは秋田県が開発した酒米で、栃木の蔵がこの米を選んだ点も興味深い。

ヨーロッパの読者へ

ラベルに「生酛」「無濾過」「原酒」と表記された瓶
ラベルに「生酛」「無濾過」「原酒」と表記された瓶 — 画像提供: 外池酒造店(PR TIMES)(プレスリリースより)

本商品は日本国内の特約店限定の流通で、EUでの取り扱いは現時点で明らかになっていないが、外池酒造店の輸出先は17カ国に及ぶため、欧州の日本酒専門店で「望 bo:」の名前を見かけることもあるだろう。生酛の純米酒は温度による表情の変化が大きいとされ、冷やせばみずみずしさ、常温や40℃前後のぬる燗にすれば熟成由来の米の旨味が広がりやすい。チーズや煮込み料理など味の濃い皿と合わせやすいのも生酛の特徴だ。ラベルに「生酛」「無濾過」「原酒」の表記があれば、このブランドの方向性がうかがえる一本といえる。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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