杜氏サミット2026、ユネスコ登録後の技をどう継ぐか
ユネスコ無形文化遺産「伝統的酒造り」の保存会が、清酒と焼酎の杜氏を集めて技術の継承を話し合うサミットを9月に企画し、議論の記録を公開するとしていた。
日本の「伝統的酒造り」は2024年12月、ユネスコ無形文化遺産に登録された。登録の対象は特定の銘柄や商品ではない。こうじ菌(蒸した米などに繁殖させ、でんぷんを糖に変える働きをするカビ)を使って日本酒や本格焼酎などを造る技術と、それを担う人々だ。この技術の保存に取り組む「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会」は、日本酒造杜氏組合連合会と共催で、9月18日に「杜氏サミット2026」を開くと告知していた。杜氏とは、酒蔵で造りの現場を率いる醸造責任者のことだ。
登録の「その後」を支える場
会場は日本酒造組合中央会の会議室で、Zoomでも参加できるハイブリッド形式。参加費は無料とされた。保存会によると、目的はベテラン杜氏の技や、清酒と焼酎の造りの共通点と違いを共有し、伝統的酒造りの現状と課題、新しい挑戦を互いに学ぶこと。議論は映像と文書で記録し、活用するという。無形文化遺産は、登録された時点で役目を終えるものではない。技を受け継ぐ人を育て続けてこそ意味がある。サミットは、そのための実務の場と位置づけられた。
生酛から震災復興まで、杜氏たちのテーマ

第1部の「杜氏リレートーク」には3人の杜氏が登壇する予定だった。丹波杜氏組合の小島喜代輝氏は、丹波流の生酛造りについて話す予定だった。生酛は、自然の乳酸菌を活かして酒母(発酵のもと)を育てる、手間のかかる伝統的な製法だ。南部杜氏協会の直町呉悦氏は有機純米酒への取り組みを、新潟酒造研究会の平野保夫氏は新潟県中越地震からの復興を取り上げる予定だった。演題はいずれも仮題とされていた。第2部のテーマは「酒造りは人造り」。日本酒造杜氏組合連合会会長の石川達也氏(広島杜氏組合)と、焼酎蔵である大海酒造の大牟禮良行氏が、技や知恵の交流と人材の育成について語り合う予定だった。第3部では宇都宮仁氏の司会のもと、会場とオンラインの参加者全員で「次世代に何を伝え残すべきか」を討論する構成だった。
ヨーロッパから注目したい点
サミットの記録は、動画と文書で公開される予定とされていた。公開されれば、日本に行かなくても、造り手が何を残そうとしているのかを知ることができる。ヨーロッパで1本選ぶなら、まずラベルの「生酛(Kimoto)」表記を手がかりにしたい。乳酸に由来する、厚みのある酸味が感じられることがある。有機純米酒は、オーガニックワインを好む人にも試しやすいスタイルだろう。登壇者には焼酎の造り手もいる。同じこうじ文化から生まれた蒸留酒として、本格焼酎も一緒に味わってみたい。なお、「ユネスコ登録」をうたうボトルを見かけても、登録されたのは個々の商品ではなく技術そのものだという点は覚えておきたい。
参考・出典
- 日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会「杜氏サミット2026について」
- SAKE Street「「伝統的酒造り」とは何か?ユネスコ無形文化遺産に登録。制度の概要や日本酒のPRで注意すべき点を解説!」
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
秋田の酒を EU で試す — €6 から
180ml のお試しサイズと、日本酒・ワイン・ビール・ジンのフルボトル。アムステルダムから EU 域内へ発送。

