The Sake Wire

「金麦」がビールへ サントリーの製法転換

日本の酒税改正を受け、サントリーの「金麦」は低価格の「新ジャンル」から、麦芽比率50%以上のビールに生まれ変わった。

グラスに注がれた、澄んだ金色のラガービール
グラスに注がれた、澄んだ金色のラガービール — 写真: Jessica Lenihan(Unsplash)

酒税改正で「新ジャンル」から「ビール」へ

日本では長いあいだ、ビールに似たお酒が酒税によって3つに分かれていました。麦芽比率の高い「ビール」、それより麦芽が少ない「発泡酒」、そして麦芽以外の原料も使って税率をさらに抑えた「新ジャンル(第3のビール)」です。サントリーの「金麦」は2007年に新ジャンルとして発売され、手頃な価格で毎日の食卓に合うお酒として約20年親しまれてきました。2026年10月の酒税改正でこの税率差がなくなるのに合わせ、サントリーは金麦をビールの製法に切り替えました。ビール・RTD部の斎藤圭世課長は、日本ではビールというカテゴリーのイメージが発泡酒より高いことも、この決断を後押ししたと説明しています。

麦芽を増やすと生まれる「ジレンマ」

日本の基準でビールと名乗るには、麦芽を50%以上使う必要があります。開発主幹の水口伊玖磨氏によると、麦芽を増やせば麦の旨味は強くなります。しかし、その味わいが後味にまで残りすぎてしまうことが課題でした。麦の旨味と澄んだ後味の両立は、麦芽が少ない新ジャンルだからこそできたバランスで、原料をわずかに変えるだけで崩れかねなかったといいます。そこで、旨味麦芽と国産麦芽を合わせた「贅沢麦芽」に、香りのためのアロマホップと苦味のためのビターホップを組み合わせました。これらの配合は0.1%単位で決めています。

デコクション製法と三段階の温度で旨味を引き出す

醸造では、ドイツやチェコのラガーでおなじみの「デコクション製法」を使っています。仕込みの途中で麦汁の一部を釜で煮出し、麦芽の旨味とコクを引き出す方法です。さらに、3段階の温度でゆっくり麦の旨味を抽出する「うまみ三段製法」を組み合わせました。後味に影響する成分がどれだけ抽出・分解されるかを細かく調整し、旨味を保ちながらもキレのある後味を目指しています。新しい「金麦」と「金麦〈糖質75%オフ〉」は10月6日から、より麦の旨味を強めたラガー「金麦〈豊潤〉」は10月13日から日本全国で発売されています。

ヨーロッパの読者にとってこの話の面白さは、日本の大手ブランドが税制の変化をきっかけに、ヨーロッパの伝統的なビール造りの技法に向き合った点にあります。アジア食材店などで日本のラガーを見かけたら、ラベルの表示(ビール/発泡酒)を確かめてみてください。チェコやバイエルンのデコクション製法のラガーと飲み比べると、日本のビールがめざす「旨味はしっかりあるのに後味は軽い」というスタイルの違いが分かりやすいかもしれません。よく冷やして、焼き鳥や揚げ物、和風の家庭料理と合わせる楽しみ方もあります。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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