The Sake Wire

震災から再建の酔仙酒造、日本酒の日に新酒を出荷

東日本大震災で被災し岩手県大船渡市で再建した酔仙酒造が、10月1日の「日本酒の日」に今季最初の新酒を出荷した。

新酒の完成を知らせる、軒先に吊るされた杉玉(イメージ)
新酒の完成を知らせる、軒先に吊るされた杉玉(イメージ) — 写真: Cindy Bissig(Unsplash)

被災から再建した蔵の新酒出荷

酔仙酒造(すいせんしゅぞう)は、2011年の東日本大震災で岩手県陸前高田市にあった蔵が被災しました。その後、隣の大船渡市に拠点を移して再建しています。岩手県は本州の北東部にあり、太平洋に面した沿岸部は津波で大きな被害を受けました。酔仙酒造は毎年10月1日に新酒を出荷しています。今年も出荷式で神事が行われたあと、新酒の完成を知らせる「杉玉」が掲げられました。杉玉は杉の葉を球状に束ねたもので、酒蔵の軒先に吊るす伝統的な目印です。新酒は来年3月までに10万リットルの出荷を見込んでいます。

「日本酒の日」と醸造年度

10月1日が「日本酒の日」とされるのは、かつての酒造りの年度の区切りに由来します。日本の酒造りでは「醸造年度(BY=Brewery Year)」という独自の1年が使われ、以前は10月1日から翌年9月30日まででした。秋に米を収穫し、寒い冬に仕込む「寒造り」が主流だったためです。醸造技術が進み、仕込みを早く始める蔵が増えたため、1965年に現在の7月1日から翌年6月30日に改められました。それでも10月1日は、1978年から日本酒の日として親しまれています。ラベルに「2025BY」などとあれば、この年度を表しています。

活性原酒「雪っこ」とヨーロッパでの楽しみ方

今回出荷が始まった「雪っこ」は活性原酒です。「活性」は、酵母が生きたまま瓶に詰められ、発酵で生まれた炭酸ガスを含むタイプを指します。「原酒」は、搾ったあとに水を加えていない酒のことです。雪っこは10月1日に東北地方で発売され、10月中旬には日本全国で販売される予定でした。金野連社長は、まろやかな仕上がりで、口にした瞬間に驚いてもらえると自信を見せています。

この銘柄をヨーロッパで手に入れるのは簡単ではありません。ただ、秋から冬は日本各地の蔵の新酒が出回る季節です。輸入店や専門店では、「新酒」「しぼりたて」「活性」といった表示や、ラベルのBYを確かめると、その年に造られた新しい酒を選びやすくなります。活性酒はガスで中身が吹き出しやすいので、よく冷やしてから、栓を少しずつゆるめて開けるのが基本です。震災から立ち直った蔵の物語を思いながら、東北の新酒を秋の食卓で味わうのもよいでしょう。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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