大関の小仕込み蔵「魁蔵」、第2号酒を発売
灘の大手・大関が2025年に建てた小さな蔵「魁蔵」から、白ワインのような香りの純米大吟醸が数量限定で登場した。

大量生産のイメージが強い大手酒造会社が、あえて小さな仕込みで造り手一人ひとりの個性を打ち出そうとしています。兵庫県西宮市の大関は、2025年10月に完成した小規模な蔵「魁蔵(さきがけぐら)」の2本目の酒「茅渟(ちぬ)の夏風 純米大吟醸」を、2026年5月20日に数量限定で発売しました。
大手の中に生まれた小さな蔵
大関は、神戸と大阪のあいだに位置する酒どころ「灘」の今津地区に本社を置く大手酒造会社です。魁蔵の仕込みは1回あたり原料米最大150kgと、ごく小さな規模です。目的は二つあります。兵庫県の丹波地方を源流とする酒造りの職人集団「丹波杜氏」の技術を次の世代に引き継ぐこと、そして社員が実際に手を動かして酒造りを学ぶことです。大関には6人の丹波杜氏がおり、それぞれの個性を「造り手の顔が見える酒」として発信していく方針です。第1号酒「天与の酒」は2026年3月の蔵開きで披露され、すでに完売しています。
ワイングラスで飲む純米大吟醸

第2号酒は、兵庫県産の酒米・山田錦のうち評価の高い特A地区の米だけを使っています。精米歩合(玄米から削った後に残る割合)は50%で、米と米麹だけで造る最上位クラスの等級「純米大吟醸」にあたります。造りも独特です。酵母を育てるスターター「酒母」の割合を20%と高めにし、通常は三段階に分けて行う仕込みを二段階で済ませました。その結果、日本酒度マイナス8(数値が低いほど甘口)、酸度2.2という、甘みと酸がはっきりした酒になっています。白ワインを思わせる穏やかな香り、やさしい甘み、ほのかな酸、そして軽やかな後味が特徴で、蔵はよく冷やしてワイングラスで飲むことを勧めています。名前の「茅渟」は、蔵の前に広がる大阪湾の古い呼び名に由来します。
担い手は五十嵐文也杜氏
手がけたのは、1975年に入社し、2005年から丹波杜氏を務める五十嵐文也氏です。全国新酒鑑評会には12回出品し、そのうち8回で金賞を受けています。経験に頼るだけでなく、今の飲み手にどう届くかを考えて酒質を設計するのが五十嵐氏の流儀です。
この酒は大関の直営店と公式オンラインショップだけで販売されており、ヨーロッパで手に入れるのは難しいでしょう。それでも、このニュースから読み取れる流れは大切です。大手の蔵が、造り手の名前を前面に出した少量生産に乗り出しているということです。地元の酒販店では、「日本酒度がマイナス」「酸度が高め」と表示された純米大吟醸を探し、白ワイン用のグラスでよく冷やして飲んでみてください。甘酸っぱい酒のスタイルを体験できます。魁蔵では今後、6人の杜氏がそれぞれ酒を造っていく方針です。大関の公式Instagramをフォローしておけば、次の一本の情報を追えるでしょう。
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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