修業3年目の新人が造った低アル辛口「Ryok」
岡山の老舗・辻本店で3年間修業した井上翔太さんが、自分の蔵を持つ前の第一歩として、雄町米を使ったアルコール12度の辛口酒を発売した。
会社員として海外で働いていた井上翔太さんは、そこで日本酒に惹かれ、自分の酒蔵を開くと決めました。岡山県真庭市にある創業200年以上の酒蔵・辻本店に入り、未経験から3年間修業しました。2026年9月7日、初めて自分で手がけた酒「Ryok(リョク)」が発売されました。仕込みだけでなく、売り先探しまで井上さん自身が担当しています。
海外で惹かれた日本酒を、自分の手で造る
井上さんは岡山市の出身です。日本酒に本気になったのは、仕事で海外に住んでいた頃でした。地域によって味がまったく違うところが面白く、ほかのお酒にはない魅力だと感じたそうです。辻本店で井上さんを指導したのは、杜氏(酒造りの責任者)の辻麻衣子さんです。辻さんは、井上さんがいずれ独立することを承知のうえで、蔵の技術を隠さず教えてきました。若手が辻本店で経験を積んで自分の蔵を建てれば、岡山県の酒造業全体が元気になる。若い人を育てることは辻本店にとってもプラスになるはずだ。辻さんはそう話しています。
12度でも物足りなさのない辛口
Ryokの原料は、岡山県産の酒米「雄町(おまち)」です。雄町は岡山を代表する酒造好適米で、ふくらみのある旨味が特徴とされます。日本酒のアルコール度数は15〜16度前後が一般的ですが、Ryokは12度と低めです。それでいて辛口に仕上げ、雄町らしい旨味もしっかり感じられることを目指しました。発売前に開かれた辻本店のイベントには日本酒に詳しい客が集まり、「雄町らしい味」「夏に合う。氷を入れてもよさそう」といった感想が出ました。岡山の酒蔵を長く取材している日本酒ライターの市田真紀さんは、ヨーグルトを思わせる香りがあると評しています。口当たりはとても軽いものの奥に雄町の旨味があり、12度とは思えない飲みごたえがある、という評価です。
独立に向けて準備中

井上さんは今、各地で新商品を紹介しながら、自分の蔵を建てる場所も探しています。準備は大変だが、少しずつ進んでいるのがわかるので楽しい、と話しています。老舗が新しい造り手を育て、外に送り出す。地方の日本酒業界が世代交代していく、ひとつの形といえます。
Ryokがヨーロッパで手に入るかどうかは、今のところわかりません。それでも、この記事から楽しめる点が二つあります。一つは酒米の「雄町(Omachi)」です。ヨーロッパの日本酒専門店でも、ラベルに雄町と書かれた酒を見かけることがあります。何本か飲み比べると、穏やかで丸みのある旨味の共通点が見えてくるかもしれません。もう一つはアルコール度数です。ワインに近い12〜13度前後の日本酒も増えています。食事に合わせやすく、氷を入れて食前酒として楽しむ飲み方もあります。
参考・出典
- FNNプライムオンライン(岡山放送)「老舗酒蔵でゼロから修業 若い感性で3年がかりで開発した日本酒の味は?(岡山)」
- YouTube(FNNプライムオンライン)「老舗酒蔵でゼロから修業 若い感性で3年がかりで開発した日本酒の味は?(岡山)」
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
秋田の酒を EU で試す — €6 から
180ml のお試しサイズと、日本酒・ワイン・ビール・ジンのフルボトル。アムステルダムから EU 域内へ発送。

