The Sake Wire

白麹が支える10%の純米吟醸 栃木・菊の里酒造

栃木県の菊の里酒造が県の研究機関と組み、白麹の酸を生かしてアルコール10%でも味の濃さを保つ、白ワインのように飲める純米吟醸を発売した。

冷やした低アルコール日本酒を白ワイングラスで味わう
冷やした低アルコール日本酒を白ワイングラスで味わう — 写真: Volker Loschek(Pexels)

低アルコール日本酒の「薄さ」という壁

日本酒のアルコール度数はふつう15〜16%前後です。最後に水を加えて、この度数に合わせるのが一般的です。一方で、健康を気にする人が増え、各地で低アルコールのお酒が求められるようになりました。海外ではワインと同じくらいの度数がひとつの目安とされています。ただ、日本酒は度数を下げると甘味や酸味まで薄くなり、物足りない味になりやすいという課題があります。

栃木県大田原市の菊の里酒造(代表銘柄は「大那」)は、栃木県産業技術センターと共同でこの課題に取り組みました。若い世代が低アルコールのお酒を好む流れを受けたもので、栃木県が独自に開発した酒造好適米(日本酒造りに向く米)「夢ささら」の新しい使い道を探る試みでもあります。

白麹の酸で味に輪郭をつける

原料の夢ささらは精米歩合55%です。米粒の外側を45%削り、雑味のもとになる部分を減らしています。酵母には、華やかな吟醸香で知られる「明利小川酵母」を選びました。

日本酒は、米・麹・水を数回に分けてタンクに加える「段仕込み」で造ります。この酒では、最後の仕込みの段階で、白麹で糖化させた甘酒のような液を加えました。白麹は主に焼酎造りで使われる麹で、クエン酸を多く生み出します。この酸と甘さで、薄くなりがちな味のバランスを補いました。

できあがった酒は、アルコール度数10%、酸度3.3、日本酒度マイナス28です。酸度も甘さも、一般的な日本酒よりかなり高い数値です。蔵によると、柑橘のような甘酸っぱさと、ほのかな甘い余韻が感じられる味に仕上がりました。

よく冷やして白ワインのように

阿久津信社長は、口当たりが軽いので和食だけでなくイタリア料理やフランス料理にもよく合うと話し、よく冷やして白ワインのように楽しんでほしいとしています。容量は720ml、日本での価格は1,760円です。

この酒がヨーロッパで手に入るかどうかは、今のところわかりません。それでも、見るべきポイントははっきりしています。商品の説明に「白麹(shiro koji)」や「低アルコール」と書かれた日本酒を探せば、同じ考え方で造られた酒に出会えるかもしれません。飲むときは冷蔵庫でしっかり冷やし、白ワイングラスで香りを確かめてください。酸がしっかりしているので、レモンを搾った魚料理やトマトのパスタ、山羊のチーズなど、ふだん辛口の白ワインと合わせる料理で試すと特徴がわかりやすいでしょう。度数を下げても味の濃さを保つ技術は、これからの日本酒の輸出でも大事な鍵になりそうです。

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