酒税一本化で日本のビール市場が再編へ
2026年10月の酒税改正でビール類の税率差がなくなり、アサヒビールは価格ではなくブランドで選ばれる時代になるとみている。
日本では長いあいだ、ビールに似たお酒が税率の違いで3つに分かれていました。麦芽を多く使う「ビール」、麦芽の比率が低い「発泡酒」、麦芽以外の原料などで造る「新ジャンル」(第三のビールとも呼ばれます)です。安い税率のカテゴリーには手頃な価格の商品が集まり、各社はカテゴリーごとに価格帯を分けて競ってきました。2026年10月の酒税改正で、この3つの税率が一本化されました。業界最大手のひとつアサヒビール(Asahi Breweries)は、市場の競争の形が大きく変わると見ています。
ビールは減税、発泡酒と新ジャンルは増税
アサヒビールが5月29日の発表会で示した説明によると、税率の一本化により、ビールは350ml缶1本あたり9.1円の減税になりました。一方、発泡酒と新ジャンルは350ml換算で7.26円の増税です。各社がこの増減をそのまま店頭価格に反映すれば、ビールと新ジャンルの価格差は縮まります。消費者が「どのカテゴリーにするか」ではなく「どのブランドを選ぶか」で決める場面が増える、というのが同社の見方です。
「最後はブランドとブランドの戦い」
アサヒビールの常務執行役員で、マーケティング本部長を務める古澤毅氏は、ビール価格帯のブランドには大きなチャンスがあると話しました。ビールがこれまでより買いやすくなるためです。そのうえで、価格の追い風に頼るのではなく、ブランドの価値を高める必要があると強調しました。同社の看板商品「アサヒスーパードライ」(Asahi Super Dry)は1987年に発売され、辛口ですっきりした「ドライビール」という新しい流れを生み、その後の同社の成長を支えてきました。今回の新しいブランド戦略は、首位の座を守るための戦いとも受け止められています。
新ジャンルの人気商品も「ビール」へ
ただし、ビールにとって追い風ばかりではありません。税制改正をきっかけに、これまで新ジャンルとして売られてきた商品の一部が、ビールの規格に切り替わりました。アサヒビールは「クリアアサヒ」をビールにする方針を示し、サントリー(Suntory)の「金麦」、キリンビール(Kirin Brewery)の「本麒麟」も同じ方針を打ち出しています。手頃な価格で親しまれてきた大型ブランドがビールの土俵に入ってくるため、ビール市場の競争はさらに激しくなりそうです。
ヨーロッパの読者にとって、この動きは日本のビールの「味の設計」が変わるきっかけとして注目できます。税率で守られていたカテゴリーがなくなれば、各社は価格ではなく味とブランドの個性で選ばれることが求められます。日本のラガーを飲む機会があれば、キレや苦味、麦芽の厚みに注目してみてください。辛口のスタイルは、寿司や天ぷら、焼き鳥のような日本料理と合わせやすいでしょう。
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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