The Sake Wire

発電所トンネルで半年熟成、兵庫の純米酒240本

兵庫県朝来市にある関西電力の揚水発電所のトンネルで約半年寝かせた、地元2蔵の純米酒240本が10月1日に蔵出しされた。

揚水発電所のトンネルを「セラー」に

光が届かない地下トンネルの様子(イメージ)
光が届かない地下トンネルの様子(イメージ) — 写真: ᛟᛞᚨᛚᚹ ᚨᚱᚲᛟᚾᛊᚲᛁ(Pexels)

舞台は、兵庫県北部の但馬(たじま)地方にある朝来市(あさごし)です。兵庫県は神戸を県庁所在地とする西日本の県で、日本有数の酒どころでもあります。朝来市にある関西電力の奥多々良木(おくたたらぎ)発電所は、揚水発電所として国内最大規模とされる施設です。揚水発電とは、電力に余裕のある時間帯に水を高い位置の貯水池へくみ上げておき、需要が高まったときに流し落として発電する仕組みのことです。今回、この発電所のトンネル内で日本酒が約半年間熟成されました。

地下の空間には日光が届かず、外の気温の影響も受けにくいのが一般的です。光と急な温度変化を嫌う日本酒にとって、こうした場所は天然のセラーになり得ます。ワインを洞窟で寝かせたり、チーズを洞窟で熟成させたりするのと同じ発想です。

但馬・山東の二つの蔵

貯蔵されたのは、朝来市山東(さんとう)地域の酒造会社「此の友酒造(このともしゅぞう)」と「田治米(たじめ)」の純米酒で、合わせて240本です。純米酒とは、米・米麹・水だけで造り、醸造アルコールを加えていない日本酒の区分です。10月1日に出庫式が行われ、特製ラベルを付けて10月10日の蔵開き(酒蔵が一般の人に門を開くイベント)で販売される予定でした。

本数はごく限られており、地元向けの企画といえます。それでも、電力インフラという酒造りとは無関係の施設を、小さな蔵が熟成の場として使っている点は注目に値します。設備投資をせずに、すでにある地下空間の安定した環境を活用するという、身の丈に合った工夫です。

ヨーロッパでの楽しみ方

ワイングラスで味わう、寝かせた純米酒のイメージ
ワイングラスで味わう、寝かせた純米酒のイメージ — 写真: Anna Kumpan(Unsplash)

この240本がヨーロッパに届くことはまずありませんが、「寝かせた日本酒」を味わう楽しみは身近にあります。秋の酒販店では、冬に搾った酒を夏の間蔵で寝かせ、秋に出荷する「ひやおろし」が並ぶ時期です。また、ラベルに「熟成」や「古酒」とある酒も探してみてください。搾りたての新酒と比べると角が取れ、まろやかさやうま味が増した傾向があります。冷やしすぎず、少しひんやりした程度か常温で、ワイングラスに注ぐと香りの変化がわかりやすくなります。熟成したハードチーズやきのこ料理と合わせるのもおすすめです。自宅で保管する場合も、このトンネルと同じように、暗くて温度変化の少ない場所に置くのが基本です。

参考・出典

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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