大手が育てた酒米「白鶴錦」、全国13蔵で共有
大手の白鶴酒造が自社で開発した酒米「白鶴錦」を使う酒蔵が三重県に集まり、栽培と醸造の成果を持ち寄って意見を交わしました。

日本の大手酒造会社である白鶴酒造(兵庫県神戸市)は、2026年9月17日と18日に「白鶴錦 蔵元の集い 2026」を開きました。白鶴錦は同社が自ら開発した酒米です。今回で9回目となるこの会合は、三重県名張市の木屋正酒造が受け入れ、初めて同市で開かれました。白鶴錦は現在、白鶴酒造を含む13社が使っています。そのうち10社が参加し、2025年度の醸造結果やきき酒(テイスティング)の結果、2026年の稲の育ち具合を共有しました。
山田錦の「兄弟」として生まれた酒米

酒米は、食用の米よりも粒が大きく、中心に「心白(しんぱく)」と呼ばれるでんぷん質の白い部分を持つ、酒造りに向いた米です。白鶴酒造は1995年に交配を始め、2007年に白鶴錦の品種登録が受理されました。白鶴錦は、最高級の酒米として知られる山田錦と両親がほぼ同じ「兄弟米」です。山田錦と同じように粒が大きく、心白も大きいのが特徴です。一方で、稲の背丈は約10cm短く、粒は楕円ではなく球に近い形をしています。同社によると、雑味のもとになるアミノ酸が少なく、麹(こうじ)にしたときの糖の組成にも違いが出るといいます。
大手から有名蔵へ広がった仕組み

2012年、東京の酒販店「はせがわ酒店」の長谷川浩一社長の紹介で、山形県の高木酒造が使い始めたのが最初です。高木酒造は、入手が難しいことで知られる銘柄「十四代」の造り手です。その後、「而今」(三重県)、「東洋美人」(山口県)、「作」(三重県)、「東一」(佐賀県)、「くどき上手」(山形県)など、評価の高い蔵が次々と加わりました。大手が育てた品種を、規模の異なる造り手たちが共有し、成果を持ち寄って栽培と醸造の両面で改良を重ねている点が、この取り組みの特色です。
2026年の田んぼの状況

白鶴錦は主に兵庫県佐用町の農家が、地元の農業協同組合(JA)と協力して育てています。白鶴酒造も2015年に農業法人「白鶴ファーム」を設立し、自社での栽培を進めています。2026年は気温が高く日照も多かったため、稲はおおむね順調に育ちました。ただし7月上旬から雨が少なく、穂が出る時期は平年よりやや早まりました。今後は高温とカメムシへの対策、そして適切な時期に刈り取ることが課題とされています。
ヨーロッパでこの米の酒を探すなら、ラベルの「白鶴錦」または「Hakutsuru Nishiki」という表記が手がかりになります。多くは純米大吟醸です。純米大吟醸とは、米と米麹と水だけで造り、米を半分以下になるまで削って(精米して)醸した最上位の等級を指します。同じ蔵の山田錦の酒と飲み比べると、米の品種による違いがわかりやすくなります。軽やかさや甘みの出方を比べてみてください。白鶴酒造自身の「白鶴 天空」シリーズは海外でも評価を受けており、入門としても手に取りやすい選択肢です。
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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