The Sake Wire

ブドウの野生酵母で醸す岐阜のクラフトビール

岐阜県瑞浪市のカマドブリュワリーが、地元の赤ワイン用ブドウから採った天然酵母で新ビール「ボンジュール・ボン・ルージュ」を造った。

秋の光を受けて実る赤ワイン用のブドウ
秋の光を受けて実る赤ワイン用のブドウ — 写真: Ekaterina Swiss(Pexels)

岐阜県は、名古屋の北、日本のほぼ中央にある内陸の県です。その東部の瑞浪市釜戸町にあるクラフトビール醸造所「カマドブリュワリー」が、新しいビール「ボンジュール・ボン・ルージュ」を造りました。発酵には、ワイン用ブドウから採った天然酵母を使っています。地元紙の中日新聞によると、ワインのような香りとブドウらしい酸味が特徴です。販売は10月2日に始まりました。

赤ワイン用ブドウから酵母を採る

房に白い粉をまとった赤ワイン用のブドウ
房に白い粉をまとった赤ワイン用のブドウ — 写真: Andrea Cairone(Unsplash)

酵母は、岐阜市内で育った赤ワイン用のブドウから採ったものです。採取したのは、県の研究機関である岐阜県食品科学研究所の主任研究員、久松賢太郎さん(34)です。久松さんは岐阜大学応用生物科学部の中川智行教授(専門は食品微生物学)の協力を得て、この酵母がクラフトビールに使えるかを試験醸造で確かめました。そのうえで、カマドブリュワリーに提供しています。

ビールの多くは、純粋に培養された市販の酵母で発酵させます。果皮に自然に付いている酵母を分けて取り出して使うと、香りに個性が出ます。その一方で、きちんと発酵するかを確かめる手間がかかります。今回は、その確認を研究所と大学が前もって引き受けました。そこがこのビールの大きな特徴です。

研究所と醸造所が組む「地元の酵母」

小さな醸造所に並ぶステンレスの発酵タンク
小さな醸造所に並ぶステンレスの発酵タンク — 写真: cottonbro studio(Pexels)

日本では、県の研究機関がその地域だけの酵母を開発し、地元の日本酒蔵に提供する取り組みが各地で行われてきました。今回は、その仕組みをクラフトビールに広げた例といえます。新しいビールは「ギフスタイル」の名で売り出されました。会社の東社長と醸造担当の門川さんが紹介役を務めています。ブドウの栽培、酵母の採取と確認、そして醸造まで、すべて岐阜県内で行われました。その土地の微生物を味の中心にした一杯です。

ヨーロッパでの楽しみ方

グラスに注がれたクラフトビール
グラスに注がれたクラフトビール — 写真: Pavel Danilyuk(Pexels)

今のところ輸出の情報はありません。ヨーロッパでこのビールを手に入れるのは難しいでしょう。ただ、ワイン用ブドウに由来する酵母でビールを造る考え方は、イタリアン・グレープエールのように、ヨーロッパの人にもなじみのあるスタイルに通じます。日本のクラフトビールを扱う専門店で飲むときは、酵母がどこから来たのかをラベルや店の説明で確かめてみてください。日本酒と同じように、日本のビールでも「地元の酵母」が造り手の個性を知る手がかりになります。このビールはそのことをよく示しています。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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