The Sake Wire

月桂冠、麹菌研究から生まれた料理清酒を発売

京都の月桂冠が、酒造りで取り除かれてきた成分「Dfcy」を逆に活かし、食材の臭みを抑える純米料理清酒を日本で発売した。

料理に使われる日本酒と和食の食材
料理に使われる日本酒と和食の食材 — 写真: Sydney Sang(Pexels)

京都・伏見の大手酒造会社、月桂冠(Gekkeikan)は2026年9月14日、日本国内で「プレミアム純米料理清酒」を発売しました。特徴は、同社が20年以上研究してきた麹菌由来の天然成分「デフェリフェリクリシン(Dfcy)」を含むことです。麹菌は、米のでんぷんを糖に変えるために日本酒造りに欠かせないカビの一種です。その研究成果を、飲む酒ではなく台所で使う調味料として商品化しました。

邪魔者だった成分を「活かす」発想

Dfcyは、もともと酒に色をつけてしまうため、酒造りの過程では除くべき成分とされてきました。月桂冠は発想を逆転させ、2003年からこの成分の働きを調べ始めます。その結果、Dfcyに強い抗酸化作用があることを突き止めました。さらに研究を重ね、Dfcyを多く生み出す独自の麹菌を開発し、現在は特許を出願しています。醸造の世界で「欠点」とされてきたものに新しい価値を見つけた点が、この話の面白いところです。

油脂の酸化を抑えて臭みを抑える

下ごしらえ前の豚バラ肉や魚の切り身
下ごしらえ前の豚バラ肉や魚の切り身 — 写真: Summer Stock(Pexels)

肉や魚の嫌な臭いの一部は、食材に含まれる脂が酸化することで生まれます。Dfcyの抗酸化作用はこの酸化を抑え、臭いの発生を抑えると月桂冠は説明しています。豚バラ肉やひき肉、ブリやサバ、イワシといった脂の多い食材の下ごしらえに加えて、短時間で煮る魚料理にも向くとしています。大豆ミート特有の豆の臭いや、古くなった米を炊くときの臭いを和らげる使い方も提案されています。

純米・無塩という設計

原材料は国産米と米麹だけで、醸造アルコールを加えない「純米」で造られています。米由来のアミノ酸がうまみとコクを加えます。塩を加えていないため味の調整がしやすく、下ごしらえから仕上げまで使えます。日本での希望小売価格は500mLの紙パックで600円(税別)、アルコール度数は13%です。

現時点で発表されているのは日本国内での発売のみで、ヨーロッパでの販売予定は明らかにされていません。それでも、この商品から読み取れることがあります。日本酒の麹は、飲み物の原料にとどまらず、食品技術の研究対象にもなっているということです。ヨーロッパのキッチンでも、日本酒は肉や魚の下味つけ、煮込みの仕上げにワインと同じように使えます。料理に使うなら、塩の入った「料理酒」より、無塩の純米酒を選ぶと味の調整がしやすくなります。麹由来の新しい機能を持つ商品が今後海外に出てくるかどうか、注目しておく価値がありそうです。

参考・出典

  • 月桂冠 ニュースリリース(2026年9月11日)

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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