The Sake Wire

大七酒造、復活の棚田米で醸す生酛純米を限定発売

福島県の大七酒造が、復活した西谷棚田で育った酒米を生酛造りで醸した特別純米酒を、取り組み2年目の数量限定品として発売した。

日本酒の味わいは、蔵の技術だけで決まるわけではありません。米がどこで育ったかも味を左右します。福島県二本松市の大七酒造(Daishichi Sake Brewery)は、地元の「西谷棚田」で昨年秋に収穫した酒米を使い、「大七 生酛特別純米酒 西谷棚田」を数量限定で発売しました。この棚田の米で酒を造るのは今年で2年目です。

「つなぐ棚田遺産」に選ばれた西谷棚田

山の斜面に広がる棚田の風景(イメージ)
山の斜面に広がる棚田の風景(イメージ) — 写真: Sebastian S(Unsplash)

棚田は、山の斜面を階段のように切り開いた水田です。機械が入りにくく手作業が多いため、日本の各地で耕作をやめる例が出ています。日本の農林水産省は、こうした景観と農業を次の世代に残すため、優れた棚田を「つなぐ棚田遺産」に認定しています。二本松市の西谷棚田もそのひとつです。いったん失われかけた棚田がよみがえり、そこで実った米を地元の蔵が酒にする。小さな取り組みですが、米づくりと酒づくりが土地の上でつながっていることがよく分かる例です。

生酛造りで引き出す「柔らかなうま味」

猪口や小さな杯に注がれる日本酒のクローズアップ
猪口や小さな杯に注がれる日本酒のクローズアップ — 写真: Liana S(Unsplash)

大七酒造は、生酛(きもと)という伝統的な製法で知られる蔵です。酒の発酵のもとになる「酒母」を、自然の乳酸菌が働くのを待ちながら時間をかけて育てる方法で、手間がかかるぶん、奥行きのあるしっかりした味わいになりやすいとされます。今回の酒は「特別純米酒」です。醸造アルコールを加えず、米・米麹・水だけで造る純米酒のうち、原料や造り方に特徴があるものがこう呼ばれます。社長の太田七右衛門さんは、柔らかなうま味がのった酒に仕上がったと話し、美しい棚田の風景を思い浮かべながら飲んでほしいと語っています。720ミリリットル入りで1980円。日本国内の酒販店やオンラインで販売されています。

ヨーロッパでの楽しみ方

温めた日本酒と、熟成チーズやきのこ料理の組み合わせ
温めた日本酒と、熟成チーズやきのこ料理の組み合わせ — 写真: Szymon Shields(Pexels)

今回の限定品は日本国内向けなので、ヨーロッパの店に並ぶ可能性は高くありません。それでも、どの田んぼの米かを前面に出す酒づくりは、ワインのテロワールに親しんだ読者にはなじみやすい考え方でしょう。ヨーロッパで大七の生酛の酒を見つけたら、まず常温で、次に40度前後のぬる燗に温めて飲み比べてみてください。生酛の酒は温めるとうま味がふくらみやすく、熟成チーズやきのこ料理、ローストした肉とも合わせやすくなります。ラベルの「生酛(Kimoto)」という表記は、こうした味わいの酒を探すときの目印になります。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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