The Sake Wire

天草唯一の焼酎蔵、自社の畑から芋焼酎を造る

熊本・天草諸島で唯一の蔵「天草酒造」は、途絶えていた芋焼酎を復活させ、いまは原料の芋まで自分たちの畑で育てている。

島にひとつだけの焼酎蔵

天草諸島は、九州南西部の熊本県から鹿児島県にかけて、大小およそ120の島が連なる地域です。そのひとつ、下島の海を見下ろす高台に、天草諸島で唯一の酒蔵「天草酒造」があります。創業は1899年。造っているのは日本酒ではなく、本格焼酎です。本格焼酎とは、米・麦・芋などを麹で発酵させ、一度だけ蒸留する日本の伝統的な蒸留酒で、多くはアルコール度数25度前後で出荷されます。4代目の平下豊さん(1977年生まれ)は、東京農業大学で醸造を学んだあとすぐに家業に入りました。現在は米と麦の焼酎「天草」と、芋焼酎「池の露」の2ブランドを柱にしています。

26年ぶりの芋焼酎と、畑への転換

「池の露」は、創業から1980年まで造られていた芋焼酎です。すっきりした米や麦の焼酎が好まれる時代になり、一度は製造が途絶えていました。平下さんは「他の蔵と同じことをしていては未来がない」と考え、2006年、29歳のときにこの銘柄を26年ぶりに復活させます。雑誌で紹介されて評判にはなりましたが、4〜5年後には売り上げが落ち始めました。そこで気づいたのは、人口が減り、元気を失っていく島の姿でした。麹や蒸留の技術ばかり追いかけていた平下さんは、「芋焼酎の味を決めるのは良い芋だ」と考えを改めます。蔵の周りの耕作放棄地を借り、農薬を使わずに芋を育て始めました。今年は仕込みに使う芋の約4割が自社栽培になる見込みで、島内の契約農家の分を合わせると約6割が天草産です。平下さんは、いずれは使う芋をすべて天草産にしたいと語っています。

甕と竹、ゆっくり進む古式の蒸留

造りの道具にもこだわりがあります。麹づくりには、底を竹で編んだ通気性のよい木箱を使います。醪(もろみ)は、地中に埋めた大きさの違う27基の甕で発酵させます。蒸留器は2種類あります。通常の「池の露」はステンレス製の蒸留器で造ります。もうひとつは竹で囲った古式の「カブト釜式蒸留器」で、通常の約2倍の時間をかけてゆっくり蒸留し、醪の香りと旨みを引き出します。平下さんが描く将来像は「農家が焼酎を造る」蔵です。

ヨーロッパで探すなら、日本酒・焼酎を扱う専門店やオンラインショップで「Ike no Tsuyu」「Amakusa」の名前を確かめてみてください。平下さんがすすめる地元の楽しみ方は、熟成させた麦焼酎をロックで、魚介や出汁のきいた料理と一緒にゆっくり飲むスタイルです。白身魚のグリルや魚介のスープと合わせれば、ヨーロッパの食卓でも島の味わいを感じられるでしょう。

参考・出典

  • サライ.jp「『天草酒造』(熊本・天草市)|自社の畑で育てた作物で、無二なる焼酎を」

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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