破産から復活へ、福井初の地ビール「若狭ビール」
破産で途絶えかけた福井県第1号の地ビール「若狭ビール」を滋賀の長浜浪漫ビールが受け継ぎ、復活第一弾のアンバーエールを10月20日に発売した。

日本海に面した福井県南西部の若狭地方で、県内第1号の地ビールとして親しまれてきた「若狭ビール」が、隣の滋賀県の醸造所の手で再び動き出しました。琵琶湖の北東岸にある長浜市の長浜浪漫ビール(Nagahama Roman Beer)が、2026年10月20日から『NAGAHAMA AMBER ALE』を数量限定で発売しました。
破産から「残すべき事業」へ

若狭ビールの旧製造元は2025年8月に破産が決まり、その歴史は一度途切れかけました。転機になったのは、破産した会社の財産を管理する破産管財人が、ビールの味と事業価値を評価し「残すべき事業」と判断したことです。事業継続の許可を経て、2026年に創業30周年を迎える長浜浪漫ビールが引き継ぐことになりました。若狭は古くから朝廷に海産物などを納めた「御食国(みけつくに)」として知られる食の土地です。同社はこの食文化と自社の醸造技術を組み合わせ、若狭にクラフトビール文化を根付かせ直すことを目指しています。日本酒の世界でも、東京・八王子で途絶えた地酒を新しい蔵が復活させた例があり、地元の酒を別の担い手が受け継ぐ動きは各地で見られます。
復活第一弾はアンバーエール

最初の一本に選ばれたのは、かつて若狭ビールの定番だったアンバーエールです。焙煎したカラメル麦芽による香ばしい香りと琥珀色、麦芽のコクとやわらかな甘みがあり、ホップのほどよい苦味で後味をすっきりまとめています。単体で飲むよりも、料理と一緒に楽しむことを意識して造られました。アルコール度数は5%、350ml缶。麦芽はアメリカ・ドイツ・イギリス産を使い、要冷蔵で、賞味期間は製造日から180日です。
二つの醸造所で「飲み比べ」へ

若狭の醸造所「若狭シーサイドブルワリー」では、長浜浪漫ビールの製造チームが清掃や設備の更新を進めていますが、本格的な再開にはまだ時間がかかる見込みです。そのため今回のアンバーエールは長浜の醸造所で仕込まれました。ヘッドブルワーの奥村太氏は、再開した若狭の醸造所で造るアンバーエールと飲み比べができる日を心待ちにしていると話しています。
現時点の販売先は日本国内の店舗とオンラインショップが中心で、ヨーロッパでの発売予定は示されていません。それでも注目したいのは、倒産した小さな地域ブランドが別の会社の手で生き延びるという継承の形です。手に入りやすいイギリスやベルギーのモルト系エールを、醤油や味噌を使った焼き魚や照り焼きのような甘辛い和食と合わせてみると、このビールがねらう「食卓の一杯」のイメージがつかめるかもしれません。若狭の醸造所が再開し、二つのアンバーエールがどう違うのかも注目点です。
参考・出典
- PR TIMES(長浜浪漫ビール)「途絶えかけた「若狭ビール」復活へ。福井県第1号の地ビールその歴史をつなぐ第一弾『NAGAHAMA AMBER ALE』誕生」
- SAKE Street「東京都八王子市に新たな日本酒醸造蔵が誕生。途絶えた八王子の地酒の復活へ - 東京都・東京八王子酒造」
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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