The Sake Wire

天鏡蒸溜所、会津熟成の限定品「KAZE 921」

福島県の天鏡蒸溜所が、スコットランド産の原酒を会津で熟成させたウイスキーを921本限定で発売した。原料の表示も特徴のひとつだ。

琥珀色のウイスキーが入ったグラス
琥珀色のウイスキーが入ったグラス — 写真: Pixabay(Pexels)

福島県磐梯町(東京から北へ約250km、内陸の会津地方にある町)の天鏡蒸溜所が、2026年9月21日に「KAZE 921 FIRST EDITION 2026」を発売しました。スコットランドで蒸溜した原酒を日本の会津で熟成させ、自社の熟成システムで仕上げたウイスキーです。限定921本、アルコール度数61.7%で、価格は税込27,500円。商品名の「921」は、創業者の小池駿介さんの誕生日である9月21日にちなんでいます。同じ日に毎年リリースするシリーズとして計画されています。

会津で寝かせたスコットランドの原酒

天鏡蒸溜所によると、小池さんは自前の蒸溜所が完成する前から、会津の気候でウイスキーがどう熟成するかを調べ始めていました。スコットランドの3つの蒸溜所から、樽に入れる前の蒸溜したての原酒「ニューメイク」を仕入れました。それを58種類、合計189の樽に詰め、会津で寝かせたのです。その後、各樽から少しずつ取り出して「KAZE ソレラシステム」に加えました。ソレラシステムとは、熟成した酒を少しずつ抜き取っては新しい酒を継ぎ足していく方法で、スペインのシェリー造りで知られています。今年の921は、特によく熟成した2つのペドロ・ヒメネス・シェリー樽の原酒を中心に、このソレラの原酒を混ぜ合わせて造られました。同じ配合は二度と造らないとしています。

「英国製造」という表示が示すもの

ウイスキーをボトルに注ぐ様子
ウイスキーをボトルに注ぐ様子 — 写真: Pavel Danilyuk(Pexels)

ヨーロッパの読者にとって注目したいのは表示です。商品の情報には、原料原産地として「英国製造(モルトウイスキー、グレーンウイスキー)」と書かれています。日本の業界団体である日本洋酒酒造組合の自主基準では、「ジャパニーズウイスキー」と名乗れるのは、日本国内で発酵・蒸溜・熟成までを行ったものに限られます。今回の発表もこの名称を使っていません。輸入した原酒を日本で熟成させるウイスキーが、何をどこで行ったかをはっきり書いて出てきたことは、表示の透明性を考えるうえで分かりやすい例といえます。

会津の手仕事をまとったボトル

麦わらを漉き込んだ和紙の質感(イメージ)
麦わらを漉き込んだ和紙の質感(イメージ) — 写真: https://kaboompics.com/(Pexels)

ボトルの装いには会津の伝統工芸が使われています。ラベルは出ヶ原和紙という手漉きの紙で、会津産大麦の麦わらが漉き込まれており、昔ながらの活版印刷で1枚ずつ刷られています。栓には「石目塗」という会津漆器の技法が施されています。着色料を使わず、加水もしない「ナチュラルストレングス」で、蒸溜所はメープルシロップやスパイスを効かせたナッツ、チョコレートをまとったダークチェリーのような香りがあると説明しています。

販売は蒸溜所のオンラインショップと敷地内の直売所に限られ、海外での販売についての発表はありません。それでも、ヨーロッパの読者がこの話から得られるものはあります。日本のウイスキーを選ぶときは、裏ラベルで原酒がどこで蒸溜されたかを確かめる習慣をつけると、「日本で熟成させた輸入原酒」と、蒸溜から日本で行ったものを見分けられます。度数が高いので、まずは少量の水を加えて香りを開かせるのがおすすめです。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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