氷温とムルソー樽、280本限定の熟成純米大吟醸
兵庫県の酒蔵・本田商店が造る「°Ondo 007」は、−3℃の氷温熟成とブルゴーニュ産白ワインの樽を組み合わせた、280本限定の熟成酒です。
日本酒を、時間をかけた熟成によって価値が裏付けられる酒として、世界の高級酒の舞台に押し上げようという試みがあります。京都で酒類の通販事業を営む株式会社イズミセ(Izumise)の熟成ブランド「°Ondo(オンド)」は2026年5月、「007 Meursault Cask −3℃ 2023 純米大吟醸」の一般発売を始めました。同年4月に日本のクラウドファンディング「Makuake」で行った先行販売では、目標額の884%を集めています。日本酒ファンに加え、ワイン樽での熟成や熟成酒に関心を持つ人たちからも支援が集まったといいます。
凍る直前の温度で寝かせる「氷温熟成」

°Ondoの軸になっているのは「氷温」での長期熟成です。氷温とは、水が凍る直前の−5℃〜0℃の温度帯のこと。この低温で寝かせると、酸化や色づきを抑えながら、香りと透明感を保ったまま味わいをゆっくり深められるとされています。温度と熟成期間は銘柄ごとに調整し、生産量は数百本単位に限っています。今回の007の原酒は純米大吟醸です。純米大吟醸は、醸造アルコールを加えずに米と米麹と水だけで造り、米を大きく削って仕込む最上位の等級にあたります。原料米は兵庫県吉川町金会地区の山田錦。山田錦は代表的な酒米で、この地区は最上位の「特A地区」に格付けされています。精米歩合は35%で、米粒の外側65%を削り落とし、雑味のもとになりやすい成分を取り除いています。
ムルソー樽をはさむ三段階の熟成

熟成は三つの段階に分かれています。まず−3℃で約2年寝かせ、味わいを穏やかに整えます。次に、ブルゴーニュの造り手ピエール・ブレの白ワイン「ムルソー」を熟成させた樽に移し、約5か月の後熟を行います。この樽はムルソーの熟成に約16か月ずつ2回使われたもので、合わせて約32か月、ワインを寝かせてきました。この工程で白い花やナッツ、バニラを思わせる香りが加わりつつ、日本酒らしい透明感は残るとされています。最後にもう一度氷温に戻し、開いた香りと味わいをなじませて全体のバランスを整えます。
「龍力」の蔵、本田商店
製造を担うのは、神戸の西、兵庫県姫路市の本田商店です。日本酒ブランド「龍力」で知られる蔵で、創業は1921年。本田家は江戸時代中期から、この地方の酒造り職人集団「播州杜氏」の総取締役として酒造りに関わってきました。仕込み水には、地下103mからくみ上げる揖保川の伏流水を使っています。硬度46の軟水で、発酵が穏やかに進むため、低温でじっくり造る大吟醸に向いています。氷温熟成には約40年前から取り組んでいます。
ヨーロッパの読者にとって、この酒はブルゴーニュの白ワインと日本酒をつなぐ一本といえます。限定280本で、発表資料に海外での販売についての記載はなく、手に入れるのは簡単ではないでしょう。それでも、「氷温熟成」や「ワイン樽フィニッシュ」をうたう日本酒は、熟成酒の新しい流れとして覚えておく価値があります。ムルソーなど樽熟成のシャルドネが好きな人なら、同じ白ワイン用のグラスで、やや冷やした状態から温度が上がっていく間の香りの変化を比べてみると、樽の影響と米の旨味の重なり方がわかるかもしれません。
参考・出典 産経ニュース(PR TIMES)「氷温熟成日本酒「°Ondo」、Makuakeで884%達成。“世界基準のラグジュアリー日本酒”を目指す280本限定製造の熟成酒を一般発売」
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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