温泉の町・登別に初のウイスキー蒸留所
北海道の温泉地・登別市で、使われなくなった公共施設を改修する市内初のウイスキー蒸留所計画が動き出し、2027年春の製造開始を目指している。

北海道の南西部にある登別市は、日本有数の温泉地として知られています。この町で、地元の建設会社の経営者が新会社を立ち上げ、市内で初めてのウイスキー蒸留所をつくる計画を進めています。地元紙の室蘭民報が2026年7月に報じました。製造開始は2027年春の予定です。北海道ではいま新しい蒸留所が次々と生まれており、この計画もその流れの一つです。
使われなくなった公共施設を蒸留所に
計画を進めるのは、登別市の遠田建設で代表取締役を務める遠田耕治氏です。舞台は、1978年に建てられ2023年2月に閉鎖された旧登別市婦人センターです。市が持つ鉄筋コンクリート3階建て、延べ床面積約1700平方メートルの建物です。市は2026年6月に土地と建物をまとめて売る公募を行い、7月の審査で遠田氏の新会社を売却先の候補に選びました。総事業費は1億〜2億円で、地域経済の活性化を支える国の交付金も活用します。市の担当者は、JR登別駅と温泉街を結ぶ道路の途中に人が集まる施設ができれば、新しい人の流れが生まれると期待しています。
年間約6000リットルの小さな蒸留所

原料は麦芽と酵母、そして水です。年間の製造量は約6000リットルと小さな規模になります。ホテルや飲食店、酒販店に売るほか、「カスクオーナー制度」も始める予定です。これは、購入者が自分の樽を持ち、熟成していくウイスキーを見守る仕組みです。登別の冷涼な気候と豊かな水を生かしたウイスキーをつくり、世界に発信したい考えです。新会社はウイスキーづくりの経験がないため、酒類の製造と販売に詳しい企業から技術指導を受けます。原料や設備を試しながら準備を進めていきます。
「北海道といえばウイスキー」を目指して
遠田氏は全国の蒸留所を訪ねて研究を重ねてきました。発想のきっかけは、ウイスキーの熟成と、温泉を生む大地の長い営みに共通点を感じたことだったといいます。遠田氏は、世界的なブームを受けて北海道の各地で蒸留所がつくられていると話します。そのうえで、互いに競い合いながら「北海道といえばウイスキー」と言われるようにしたいと語っています。
ヨーロッパの読者が登別のウイスキーを味わえるのは、まだ先になりそうです。EUで「ウイスキー」として売るには、樽で3年以上熟成させる必要があります。蒸留が2027年春に始まっても、ヨーロッパで「ウイスキー」として出回るのは早くても2030年ごろになる計算です。まずは、カスクオーナー制度の詳しい内容や、熟成前の原酒(ニューメイク)を公開するかどうかに注目しておくとよいでしょう。北海道の新しい蒸留所はどこも小さく、生産量も限られます。寒い気候の中で原酒がどう育つのかを、いくつかの蒸留所で比べながら追いかけるのも楽しみ方の一つです。
参考・出典
- 室蘭民報(北海道ニュースリンク)「登別産ウイスキー誕生へ、旧婦人会館に蒸留所 市内の新会社、来春稼働目指す【登別】」
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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