焼酎蔵の原点を刻むシングルモルト「霧島 531」
75年以上焼酎を造ってきた鹿児島の霧島横川蒸留所が、ウイスキーの製造開始日を名前にしたシングルモルト「霧島 531」を発売した。
焼酎蔵がウイスキーに挑んだ2年3か月
霧島横川蒸留所は、九州の南端にある鹿児島県霧島市の蒸留所です。75年以上にわたって焼酎を造ってきました。焼酎は米・麦・さつまいもなどを原料とする日本の伝統的な蒸留酒で、鹿児島はその一大産地として知られます。この蔵はウイスキー造りにも乗り出しましたが、製造免許を取るまでに2年3か月かかりました。この間、免許取得に向けて力を尽くしたのが、蔵の関係者の高校の先輩にあたる松本純さんです。そして2023年5月31日、ようやく最初のウイスキーの製造を始めました。2026年8月30日に発売された新商品「シングルモルトウイスキー 霧島 531」の名前は、この日付から取ったものです。アルコール度数もこの数字に合わせて53.1%にしています。松本さんは2026年3月に亡くなりました。このボトルには、完成を見届けられなかった恩人への感謝が込められています。
一番搾り、乳酸発酵、低温蒸留という三つの工夫
この蒸留所は、ウイスキー造りで三つの工夫を重ねています。一つ目は、麦芽から取り出す麦汁のうち、雑味が少ない最初の部分(一番搾り)だけを使うことです。輪郭のはっきりしたクリアな味わいの土台になります。二つ目は、発酵の工程で乳酸菌の働きを促すことです。温度と時間を独自に管理して、熟した果実を思わせるフルーティな香りを引き出します。三つ目は、温度を抑えてゆっくり蒸留することです。熱による変化を防ぎ、アルコールの刺激が少なく滑らかな酒質を目指しています。仕込み水には霧島山系の天然水「蒼き水」を使います。寒暖差の大きい気候の中で、25年以上の経験を持つ職人が造っています。発酵と蒸留に精通した焼酎蔵ならではの発想と言えるでしょう。
ミズナラ、シェリー、赤ワインの樽を重ねて
「霧島 531」は、2023年の製造初日から3年以上熟成させたシングルモルトです。主にミズナラ樽、シェリー樽、赤ワイン樽の3種類で熟成させた原酒を、職人がブレンドしています。ミズナラは日本に自生するオークの一種で、独特の香りをウイスキーに与える樽材として知られています。容量は700ml、価格は13,500円(税込)です。公式オンラインショップで販売され、発送は2026年9月末以降に順次行われる予定でした。
今のところ、ヨーロッパでの正式な取り扱いは発表されていません。ただし蒸留所は、1ケースから取引できる海外の販売代理店を募集しています。今後の輸入の動きに注目したいところです。3年という熟成期間は、EUでウイスキーと名乗るために必要な最低年数と同じです。そのため、新しい蒸留所がどんな酒質に育ったかを確かめる一本といえます。度数は53.1%と高めなので、味わう際はまず何も加えずに香りを確かめる方法があります。次に数滴の水を加えると、フルーティな香りと樽の個性がどう開くかを比べられます。蒸留所の公式YouTubeチャンネル(日本語)では、自社の原酒をほかの日本のシングルモルトと飲み比べる動画も公開されており、味わいの方向性をつかむ手がかりになります。
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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