福島発haccoba、東京・大手町に醸造所
原発事故の避難区域から生まれたクラフトサケ醸造所haccobaが、2026年9月に東京・大手町のオフィスビル内で首都圏初の醸造所を開業した。

江戸の食が集まった川沿いに、小さな醸造所

haccobaは、福島県の小高(おだか)で創業したクラフトサケの醸造所です。不動産大手の三菱地所と組み、東京の都心、大手町に2026年7月に完成した「大手町ゲートビルディング」2階に「haccoba 内神田醸造所」を開きました。開業は2026年9月です。広さは約72.6平方メートルで、酒造りの場に飲食スペースも備えます。ビルが面する日本橋川の岸には、江戸時代に食材を積んだ船が着きました。周辺の神田地区は、居酒屋や蕎麦の文化が育った場所でもあります。日本の食文化の出発点の一つといえるこの場所で、新しいジャンルの酒を造ることになりました。クラフトサケは、日本酒の造り方を土台に、発酵の途中で果物やハーブなどを加える酒です。日本の酒税法では「清酒(日本酒)」ではなく「その他の醸造酒」に分類されます。
一度は人口ゼロになった町から

haccobaが最初の醸造所を開いたのは2021年2月です。場所の小高は、2011年の原発事故の避難で、住む人が一時ゼロになった町でした。2023年には隣の浪江町にも醸造所を開いています。haccobaは「酒造りをもっと自由に」を掲げています。かつて日本の家庭で造られていた濁り酒「どぶろく」の文化やレシピを、今の感覚で表現するのが特徴です。地域のお祭りを始めたり、無人駅の駅舎を醸造所に作り替えたりと、町の文化づくりにも関わってきました。今回の東京進出には、福島の地元の金融機関も融資や出資で協力しています。haccobaは、事故の後も守られてきた福島の食文化を世界に伝えると話しています。
都市と産地をつなぐ実験室

新しい醸造所は、酒を造るだけの場所ではありません。生産者と都市の人をつなぐ「めぐるめくプロジェクト」のラボとショールームを兼ね、醸造体験のプログラムも開く計画です。周辺の企業や飲食店との共同醸造も計画しています。2025年には、三菱地所設計のブランドの考え方を表現したオリジナル酒を、東京のクラフトサケ醸造所OPENBOOKと共同で造りました。
ヨーロッパでクラフトサケに出会ったら、まずラベルで副原料を確かめてみてください。ベースになる米の甘みやうま味と、果物やハーブの香りがどう重なるかが楽しみどころです。日本酒用の小さなグラスより、ワイングラスのほうが香りの違いをつかみやすいでしょう。haccobaは県外や海外にも拠点を広げようとしています。東京という大きな舞台を得て、自由なスタイルの酒が海外の店に並ぶ日が来るかどうか、注目です。
参考・出典
- PR TIMES(haccoba)「大手町ゲートビルディングに「haccoba 内神田醸造所」開設」
- SAKE Street「被災地から「サケのまち」へ。震災から14年、haccobaが歩む福島とクラフトサケの現在地」
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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