The Sake Wire

嚥下障害でも乾杯を 岐阜の「フローズンとろみSAKE」

岐阜市の酒蔵と嚥下専門医が、飲み込みに困難を抱える人も楽しめる、とろみ付きの凍らせた日本酒の商品化を目指している。

食べ物や飲み物をうまく飲み込めなくなる「嚥下障害」がある人は、水のようにさらさらした液体でむせやすく、お酒の席に加わることも難しい場合があります。そうした人も一緒に楽しめる日本酒を作ろうと、岐阜市の酒蔵と医師が手を組みました。岐阜県は名古屋の北に位置する中部地方の県で、清流と米どころで知られています。

酒蔵と嚥下専門医の協働

開発に取り組んでいるのは、岐阜市加納清水町にある酒蔵・日本泉酒造(Nihon Izumi Shuzo)と、嚥下障害を専門とする医師の国枝顕二郎さん(47歳)です。両者が掲げる合言葉は「障害があっても、一緒にカンパイを」。病気や加齢で飲み込む力が弱くなっても、家族や友人と同じテーブルでお酒を味わえるようにすることが目標です。医療の現場の知見と酒造りの技術を組み合わせた試みです。

とろみと柚の香り、シャリシャリの食感

柚子の実のクローズアップ(とろみ・凍らせた一品の香りを想起させる素材)
柚子の実のクローズアップ(とろみ・凍らせた一品の香りを想起させる素材) — 写真: Goat Tree Designs(flickr, CC BY)

商品名は「フローズンとろみSAKE」。清酒にとろみを加え、香りの強い日本の柑橘「柚(ゆず)」の香りをまとわせたうえで凍らせ、シャリシャリとしたシャーベット状で味わうスタイルです。介護の現場では、飲み物にとろみを付けて喉を通るスピードをゆっくりにする工夫が広く使われており、その考え方をお酒に応用した形です。試作品のアルコール度数は12〜14%で、一般的な日本酒(15〜16%前後)よりやや低めです。2026年8月の報道時点では、商品化に向けた開発段階でした。

ヨーロッパでの楽しみ方と注目点

テーブルを囲んでグラスを合わせる乾杯の場面
テーブルを囲んでグラスを合わせる乾杯の場面 — 写真: cottonbro studio(Pexels)

現時点でこの酒はヨーロッパでは手に入りませんが、注目したいのは「誰でも一緒に飲める」という発想そのものです。高齢化が進むヨーロッパでも、ノンアルコールや低アルコールに続く次のテーマとして、身体の状態に合わせた「インクルーシブな酒」が広がる可能性があります。日本酒を凍らせてシャーベット状にする飲み方自体は家庭でも試せる楽しみ方で、柚の皮や香りを添えると夏のデザート感覚の一杯になります。商品化の行方とあわせて、岐阜の小さな蔵が投げかけたこの問いに、今後も注目していきたいところです。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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