The Sake Wire

吉乃川がほぼ全商品を刷新、「美味淡麗」で日常酒を再定義

新潟・長岡で470年以上続く酒蔵・吉乃川が、ほぼ全商品を刷新し、「美味淡麗」を掲げて毎日の食卓に合う酒を造り直した。

酒蔵(イメージ)
酒蔵(イメージ) — 写真: Cindy Bissig(Unsplash)

老舗が「毎日の一杯」を磨き直す理由

吉乃川(よしのがわ)は、日本海に面した米どころ新潟県の長岡市にある老舗の酒蔵です。新潟では、夕食に飲む日常の酒として広く親しまれています。東京など都市部の飲食店や小売店にもよく並んでいます。2026年秋のリブランディングでは、ロゴと企業イメージ、味わい、ボトルのデザインを見直し、対象はほぼ全商品に及びました。指揮を執ったのは、創業家出身で30歳の川上将司(かわかみ・まさし)常務です。大手飲料メーカーで働いた後、2023年に入社し、以前からあった構想を本格的に進めました。川上氏は「特別な一本も大切だが、蔵の使命は日常の酒を造り続けて飲む人を増やすことだ」と話します。日常の酒がなくなれば、日本酒の文化そのものが衰えていくという危機感もあるといいます。

「美味淡麗」を支える四季醸造と冷蔵貯蔵

新しい味の指針は「美味淡麗」です。新潟の酒らしい軽くすっきりした「淡麗」の持ち味は残し、上品な甘み、穏やかな酸味、旨みのバランスを整えて、後味はきれいに切れる酒と定義しました。この味を安定して造るため、蔵の冷房と冷却設備を強化しました。夏を除く三つの季節に仕込んでいた方式をやめ、一年中仕込む「四季醸造」に切り替え、熟成を通年で管理できるようにしています。搾ったばかりの酒を受ける容器「垂壺(たれつぼ)」も導入し、酸化を抑えて風味を守ります。さらに5℃で瓶のまま保管できる冷蔵倉庫を新しく建て、瓶での貯蔵能力を720ml瓶換算で5万本から最大30万本に増やしました。特定名称酒(原料や米の磨き具合で区分される上位の等級の酒)は、すべて瓶で貯蔵します。

食事に合う「清流美」と軽やかな「渓流美」

新しい商品群の中心は、「日々の酒」と位置づけた二つのシリーズです。「清流美(せいりゅうび)」は食事と合わせる酒で、香りは穏やかながらコクと旨みがあり、後味がよく切れます。主力の純米吟醸に純米大吟醸と純米を加えた3品です。「渓流美(けいりゅうび)」はアルコール度数が低く、果実のような香りが特徴です。軽く飲める純米と、細かな泡の純米スパークリングの2品があります。これまでの看板商品「厳選辛口」も、デザインを新しくして残ります。川上氏は、話題の飲食店や酒以外のイベントにも出向き、日本酒になじみのない若い世代にも飲んでもらいたいと話しています。

ヨーロッパの読者にとって興味深いのは、今回の刷新が高級酒ではなく普段飲みの酒に向けられている点です。新潟の淡麗な酒は、焼き魚やグリル野菜、塩味の料理など毎日の食事に合わせやすく、冷やしてワイングラスで飲むと繊細な甘みと酸味が感じられます。低アルコールの酒やスパークリングは、食前酒にも向いています。ラベルの「純米吟醸」「純米」といった表示とあわせて、瓶のまま冷蔵で保管しているかどうかにも注目すると、鮮度を重んじる最近の蔵の姿勢が見えてきます。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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