The Sake Wire

福井初の地ビール「若狭ビール」、隣県の醸造所が承継

2025年に製造元が破産した福井県の「若狭ビール」を、滋賀県の長浜浪漫ビールが設備とレシピごと引き継ぎ、醸造所の改修を進めています。

海辺の小さなクラフトビール醸造所のイメージ
海辺の小さなクラフトビール醸造所のイメージ — 写真: Erik Mclean(Pexels)

福井県で最初の地ビールとして知られる「若狭ビール」が、廃業の危機を乗り越えて再出発に向かっています。日本海に面した福井県美浜町の醸造所を、隣の滋賀県長浜市でビールを造る長浜浪漫ビールが引き継ぎました。現在は古くなった設備の改修が始まっていますが、醸造再開の時期はまだ決まっていません。

観光客向けの醸造所から、ブランド存続の危機へ

クラフトビール(イメージ)
クラフトビール(イメージ) — 写真: Andrew Patrick Photo(Pexels)

日本では1990年代の規制緩和をきっかけに、各地で小さな醸造所が生まれました。こうした地域のビールは「地ビール」と呼ばれ、今でいうクラフトビールにあたります。若狭ビールもその一つで、美浜町のドライブイン「千鳥苑」が1997年、店に併設した醸造所「若狭シーサイドブルワリー」で造り始め、主に観光客に販売していました。全国規模の酒類コンクールの地ビール部門で1位になったこともあります。しかし千鳥苑は2025年8月に破産手続きの開始が決まり、ブランドがなくなる恐れが出てきました。その後、ビール事業だけは限定的に続けることが認められ、在庫を売りながら引き継ぎ先を探していました。

湖のビール会社が海辺の味を受け継ぐ

名乗りを上げたのは、日本最大の湖・琵琶湖のほとりにある長浜浪漫ビールです。同社は製造設備とレシピを取得しました。取得金額は公表されていません。同社の担当者は、醸造所が近いこともあり、この地域の文化を残したいという気持ちが強かったと説明しています。湖畔と海辺という違いはあっても、焼きサバが名物であるなど、食文化には共通点が多いといいます。若狭の地域は古くから都に食材を納めてきた土地で、同社はこれまでの若狭ビールの良さに自社の経験を加え、「料理に寄り添うビール」を目指すとしています。

常温で流通できるビールという次の一手

瓶に充填されていく小規模醸造所のビール
瓶に充填されていく小規模醸造所のビール — 写真: Allagash Brewing(flickr, CC BY)

まずは今ある設備で醸造を再開することが目標です。将来は、地ビールでは珍しい常温で流通できる商品を造り、販売先を広げる計画もあります。多くの小規模醸造所のビールは冷蔵での流通が前提で、遠くの市場へ届けにくいという事情があります。さらに長浜と美浜の製造拠点を再編して生産力を高める構想もあり、設備が整えば地元で人を雇って生産を再開するとしています。破産管財人の弁護士は、近くで実績があり地域への貢献を大切にする企業に引き継げたことを評価しています。

ヨーロッパでは今のところ若狭ビールを手に取る機会はありませんが、この話は日本の小さな醸造所が「造り手の廃業」という課題をどう乗り越えるかを示す一例として注目できます。今後の見どころは、計画されている常温流通の商品です。冷蔵が要らなくなれば、遠い市場へ届ける現実的な手段になり得ます。家庭で楽しむなら、ヨーロッパでもなじみのある焼きサバや燻製サバに、すっきりした日本のクラフトビールを合わせると、造り手が目指す「料理に寄り添うビール」がイメージしやすいでしょう。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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