宇宙技術で生酒を守る「真空酒」サーバー、世界へ
東京のIT企業ぷらっとホームなど3社が、宇宙ロケットの技術から発想した「真空酒」サーバーを秋田の酒蔵と開発した。

東京のIT企業ぷらっとホーム(Plat’Home)を含む3社が、秋田県内の酒蔵の協力を得て、日本酒を空気に触れさせずに保つ「真空酒」サーバーを開発した。秋田県は本州北部の日本海側にあり、米作りと酒造りが盛んな地域だ。開発チームは3年前から実証試験を続け、加熱処理をしていない生酒の新鮮さを保つ技術の確立を目指しているという。狙いは、蔵から出したばかりの味を、そのまま世界の人に届けることにある。
ロケットの油圧機器から生まれた逆止弁
サーバーは、冷蔵庫の中に5リットル入りの真空パックを取り付けて使う。中心となる部品は、パックに付いたシリコン製の逆止弁だ。宇宙ロケットの油圧機器から発想を得たもので、液体を一方向にしか流さないため、酒を注いでも外の空気がパックの中に入り込みにくい仕組みだという。酒は酸素に触れにくい状態で保管されるので、出来たての香りと色合いを長く保てると開発側は説明している。
なぜ生酒は遠くへ運びにくいのか
多くの日本酒は、出荷前に「火入れ」と呼ばれる加熱殺菌を行い、品質を安定させている。この工程を省いた生酒は、果実のようにみずみずしい香りや、かすかな発泡感が魅力だ。その一方で、温度の変化や酸化に弱く、開栓すると風味が早く変わってしまう。そのため日本国内でも蔵に近い地域で飲まれることが多く、長い輸送が必要な輸出には向かないとされてきた。瓶ではなく真空パックで空気を遮断するという今回の方法は、この課題への一つの答えになり得る。実用化が進めば、飲食店が開けた生酒を何日かに分けて出しやすくなる可能性もある。
ヨーロッパで生酒を味わうには
このサーバーが、いつ、どの国で使われ始めるかはまだ発表されていない。それでも、生酒を蔵の味のまま海外に届けようとする動きは、今後も注目したい流れだ。ヨーロッパで生酒を探すときは、ラベルやメニューにある「Namazake」や「unpasteurised」という表記を目印にするとよい。買ったら冷蔵庫で保管し、開けたら早めに飲み切るのが基本だ。香りが広がりやすいワイングラスに注ぎ、よく冷えた状態から少しずつ温度が上がるにつれて味わいが変わっていく様子も楽しめる。いつか日本酒バーやレストランで、ビールのように「蔵出しの生酒」を注いでくれる店が登場するかどうかにも注目だ。
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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